ソフトバンクの思惑通りに進むのか 米携帯スプリントが統合詰めの協議

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   米携帯電話会社3位でドイツテレコム傘下のTモバイルUSと、同4位でソフトバンクグループ傘下のスプリントが経営統合する方向で詰めの協議を進めている。ドイツテレコムとソフトバンクグループの出資比率など、不確定要素もあるが、統合が実現すれば、同1位のベライゾン・コミュニケーションズ、同2位のAT&Tに匹敵する契約者数になる。

   米等差会社のデータによると、2017年3月末時点でTモバイルの契約者数が7260万人、スプリントは5874万人、単純に合計すると1億3134万人になり、1億4601万人のベライゾン、1億3422万人のAT&Tに肩を並べる。通信はネットワーク産業であり、サービスエリアの広さなど基本的サービス面で2強に及ばなければ、契約を伸ばせず、投資力も高まらないという悪循環を招く。この事情はTモバイル、スプリントとも同様で、3、4位の統合により顧客基盤を固め、ネットワーク投資などに力を入れ、2強との競争に打ち勝とうというのが第1の目的だ。

  • スプリントは統合なるか(画像はイメージ)
    スプリントは統合なるか(画像はイメージ)

5G時代の到来にらみ

   日進月歩の通信の世界での生き残りのため、という目的もある。具体的には、2020年ごろには世界の携帯市場で始まるとみられる「第5世代移動通信システム(5G)」時代の到来をにらんでのことだ。

   あらゆるものがインターネットでつながる「IoT」時代を迎え、人工知能「AI」も様々な分野で急速に広がる中、その基盤となるのが高速通信、つまり次世代の5Gだ。ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が「通信は情報革命の中で根幹のインフラ」(日経新聞10月20日朝刊のインタビュー)と語るのは、まさに、こういう意味だ。

   ただ、5Gは高速化の代わりに、より直進性の強い電波を利用するため、ビルなどの影で届きにくくなり、多数の小型基地局を設置する必要があるなど、通信事業者の設備投資が嵩むとされる。そこで、統合により顧客基盤を固め、ネットワーク投資などを効率的に進めるというのが、ソフトバンクなどの狙いなのだ。

   孫氏は5月にサウジアラビア政府などと共同で10兆円規模の投資ファンドを立ち上げ、情報革命を進めるベンチャー投資に力を注ぎ、新たなファンド立ち上げも公言している。これも、IoT時代、AI時代を展望してのことで、その基盤が通信ということだ。

トランプ政権は、規制緩和に前向きだが...

   ただ、ここに至る経過は孫氏のシナリオ通りではなかった。ソフトバンクグループは2013年にスプリントを約2兆円で買収し、当時からTモバイルを買収することが視野に入っていて、実際にその方向でかなり検討が進んだ。

   しかし、オバマ政権時代の米連邦通信委員会(FCC)は、市場がベライゾン、AT&Tとの3社による寡占状態になれば消費者の選択肢が限定され、価格面などでサービスが低下するとして反対し、頓挫した経緯がある。この時の順位は、スプリントが3位、Tモバイルが4位だったが、その後のスプリントの業績不振もあって逆転された。直近の株式時価総額は、Tモバイル約500億ドル(約5兆7000億円)、スプリントは約280億ドル(約3兆1500億円)と水をあけられている。ソフトバンクとドイツテレコムは統合新会社への出資比率など詰めの協議を行っているが、ソフトバンクグループが主導権を握るのは難しいとみられ、ソフトバンクグループのIoT戦略の中で、統合新会社をどこまで勝手よく使えるかは疑問符も付くところだ。

   統合自体も、実現する保証はない。トランプ政権は、規制緩和に前向きで、今回の統合検討も、政権交代が前提。とはいえ、統合交渉がまとまっても、米司法省当局が反トラスト法(独占禁止法)に基づいて審査することになり、競争が妨げられる恐れがあると判断して統合を認めない可能性もある。

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