2020年度「教育改革」で求められる能力とは 未来の子どもたちに必要な5つの能力

提供:明光ネットワークジャパン

   大学入試センター試験(以下、センター試験)の廃止に伴って2020年度から開始される「大学入学共通テスト」(以下、共通テスト)の周知不足が懸念される。「明治以来の改革」と言われるほど戦後初の大きな教育改革となるが、中高生の保護者のうち約3%しか詳しい内容を知らないという。

   試験でどんな能力が問われるのか、また、これからの社会でどんな能力が必要とされるのか、中学受験指導のスペシャリストに聞いた。

記述式問題の導入

   文部科学省の「学習指導要領」はこれまでにも何度か改訂されてきたが、2020年度の教育改革では学習内容だけでなく、大学入試も大幅に変更される。それに伴ってセンター試験は2019年度(2020年1月)を最後に廃止され、現在の中学3年生が大学受験を迎える2020年度(2021年1月)からは共通テストが開始される。1990年に「大学共通第1次学力試験」からセンター試験に移行して以来の大きな変更となる。

「大学入学共通テスト」がスタートすることを知っていますか?(明光義塾調べ)
「大学入学共通テスト」がスタートすることを知っていますか?(明光義塾調べ)

   学習塾「明光義塾」を運営する明光ネットワークジャパン(東京都新宿区)が、中高生の子どもを持つ全国の保護者700人を対象に実施したアンケート調査では、共通テストが開始されることを知っている保護者は6割にとどまった。そのうち、センター試験との違いを詳しい内容まで知っている人は4.9%で、全体ではわずか3%と、周知が徹底されていないことが分かった。

「センター試験」と「大学入学共通テスト」がどう違うか知っていますか?(明光義塾調べ)
「センター試験」と「大学入学共通テスト」がどう違うか知っていますか?(明光義塾調べ)

   共通テストの主な変更点として、(1)記述式問題の導入(2)英語の4技能評価――が挙げられる。現行のセンター試験では全教科・全科目でマークシート方式を採用しているが、共通テストでは一部の教科で記述式問題が導入される。また、英語の「聞く」「読む」「話す」「書く」の4技能を適切に評価するため、民間の資格・検定試験が活用される予定だ。

   文部科学省は記述式問題の導入について、

「自らの力で考えをまとめたり、相手が理解できるよう根拠に基づいて論述したりする思考力・判断力・表現力を評価する事ができます」

としている。つまり、「論理的に問題の解決策を考え、それを他者に伝える」という複数のスキルが必要とされることになる。

保護者の考えとは異なる専門家の見方

   前出の保護者アンケート調査で、「将来、子どもが社会に出て活躍するために必要だと思うスキル・能力」を聞いたところ、「コミュニケーション力」「協調性」「判断力」が上位を占めた。これらが6~7割の支持を集めた一方、「発信力」「リーダーシップ」は2割前後で下位に停滞した。

将来、子どもが社会に出て活躍するために必要だと思うスキル・能力は何ですか?(明光義塾調べ)
将来、子どもが社会に出て活躍するために必要だと思うスキル・能力は何ですか?(明光義塾調べ)

   ところが、中学受験指導のスペシャリストである明光義塾の岡田直将講師は、「未来の子どもたちに求められる5つの能力」として、

「主体性」「思考力」「表現力」「判断力」「問題発見・解決力」

の重要性を主張する。もちろんコミュニケーション力は必要不可欠だが、AI技術の進歩やグローバル化に伴い、これからは

「自ら問題を発見し解決に取り組む『主体性』や解決策を考える『思考力』『判断力』、そして人に意見や考えを伝えられる『表現力』が必要」

だと強調する。

   要するに、共通テストに記述式問題が導入されたことは、

「『ただ公式や教科書を丸暗記する知識詰め込み型』勉強をすればいい時代はもう終わった」

というわけだ。

   明光義塾では保護者との面談時に変更点や必要なスキルを説明しているほか、社会で活躍できる人材として生徒を育てることを目標としている。

中学受験指導のスペシャリスト・岡田直将講師
中学受験指導のスペシャリスト・岡田直将講師
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