2024年 5月 3日 (金)

世界新連発の日本女子パシュート 他国を凌駕するスーパーテクニックとは

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   平昌五輪スピードスケート女子パシュートで、日本は1か月間に3度も世界新記録を更新してきた。

   長野五輪500メートルの金メダリスト・清水宏保氏は、2018年2月21日朝放送の「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)で進化の理由を語った。

  • 高木美帆選手(2018年2月4日撮影)
    高木美帆選手(2018年2月4日撮影)
  • 高木美帆選手(2018年2月4日撮影)

「『Choo Choo TRAIN』のように3選手が重なっている」

   パシュートは、3人同時に1周400メートルのリンクを女子は6周(男子は8周)し、最後の1人がゴールした時のタイムで争う。各選手最低1周は先頭で滑らなければならない。

   女子日本代表チームは、17年11月のW杯オランダ・ヘレンベーン大会で8年ぶりの世界新となる2分55秒77を記録すると、12月上旬のW杯カナダ・カルガリー大会・米国ソルトレークシティ大会でも、2分53秒88、2分50秒87と世界新を連発。これらのレースを戦ってきた高木美帆選手(23)、高木菜那選手(25)、佐藤綾乃選手(21)、菊池彩花選手(30)が平昌五輪の代表だ。

   なぜこれほど記録を伸ばせるか。清水氏は「モーニングショー」で、「本当に『Choo Choo TRAIN』(のダンス)のように3選手が重なっている」と、きれいにそろった隊列を絶賛。これが空気抵抗の減少につながるという。

   確かに正面から見ると日本の3選手はほぼ一直線に重なって滑っている。一方、最大のライバルとなるオランダはじめ、他チームには隊列のズレが見られる。

「歩幅と一緒で人によってスケートもクセがあります。脚が長いとストロークは長く、身長が低いとコンパクト。各選手バラバラの中で合わせないといけません。じゃあ、他のチームがなぜ同じように歩幅をそろえないかというと、技術に関わるからです。たとえば大谷翔平選手がダルビッシュ有選手と同じタイミングで投球してうまくいくかと言ったら、そうではありません。タイミングは技術と一緒ですから」(清水氏、以下同)

   日本はこの連携を磨いてきた。個人のタイミングをずらしてまで隊列をそろえるのは、「風の抵抗を受けるデメリットのほうが大きい」(清水)からだ。スピードスケートの速度は時速50キロメートル、風速は14メートルにのぼる。前の選手と横に40センチずれると先頭と同じ風の抵抗を受けるといい、逆にこれを防げれば「後ろの選手は力を温存できます」という。

「車を時速50キロで運転中に窓を開けて手を出すとすごく風を感じますが、サイドミラーの真後ろに手をやると風をまったく感じませんよね」

「こういう工夫ができるのも、高木美帆選手が非常に好調だから」

   世界新連発のもう1つの大きな要因は、「先頭交代」の技術。先述のように各選手1周は先頭を滑らなければならないためレース中に交代する。

「多くのチームで、先頭の選手はスピードを落として隊列のすぐ側から後ろへ行きます。落としたスピードをまたあげないといけませんが、上げ下げは負担になります。歩行や走りでもスピードの上下があると体力が奪われるのと一緒です」

   ところが日本チームは異なる。先頭の選手が隊列から3メートルも離れて下がっていく。

「距離的には遠回りですが、先頭から後ろにいった選手はスピードを落としていません」

   加えて、中長距離のエース・高木美帆選手をフル稼働。空気抵抗で最も負荷がかかる先頭の周回数を、オランダ大会の「1.75+1.25=3周」から、ソルトレークシティ大会では「1.75+1.75=3.5周」に伸ばした。両レースでは4.9秒タイムが縮まった。

「こういう工夫ができるのも、高木美帆選手が非常に好調だから。先頭でわずかでも詰めていくことで全体のタイムがあがっていきます」

   高木美帆選手は平昌五輪で1500メートル銀メダル、1000メートル銅メダルを獲得。今大会最後の出場種目となるパシュートで、もう1色のメダル獲得なるか。準決勝などは21日夜から始まる。

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