2018年 9月 22日 (土)

従来の「見守り」で子ども守れる? 専門家語る「もう一つの目」の必要性

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   下校中に突然、新潟市立小針小2年の大桃珠生(たまき)さん(7)が殺害され、JR越後線の線路内に遺棄された事件。犯人の「魔の手」から子どもたちを守るために、何ができるのか。

   専門家らが唱えるのは「町ぐるみ」で見守ることの大切さだ。

  • 子どもの見守り活動、どうするべき?(画像はイメージ)
    子どもの見守り活動、どうするべき?(画像はイメージ)

下校時が「穴」か?

   報道によると、珠生さんは2018年5月7日15時すぎに友人らと下校し、踏切の手前で友人と別れた後、ひとりで帰宅する途中、行方が分からなくなった。家族が17時ごろ、警察に通報。遺体の発見現場となった線路から自宅まで、数百メートルしか離れていなかった。

   幼い子どもが登下校中に命を狙われた事件は、これまでに幾度となく先例がある。2017年3月の千葉小3女児殺害事件では、9歳の女児が登校するために自宅を出たまま行方不明に。そのまま翌々日、絞殺体となって発見された。

   こうした「魔の手」から子どもたちの命を守るためにできるのは、登下校中の見守り活動だ。

   事件のあった新潟市でも、保護者らが登下校時に通学路に立つ「子ども見守り隊」の活動を実施していた。市教育委員会の学校支援課によると、2017年度の「見守り隊」登録者数は2502人で、小針小の学校区では16人。事件を受けて、5月9日付で各校に見守り隊の参加者を再募集するよう要請した。

   今後はさらに下校時の見守りを強化する必要があるという。同課の担当者は15日のJ-CASTニュースの取材に「見守り隊は、お仕事の都合もあり朝に来る人が多いが、子どもの下校時間は学年ごとに異なるので、さらに充実させる必要がある」と話した。

   市教委は事件後、小針小にスクールカウンセラーを派遣しており、担当者によると5月14日までに計43人の児童・保護者が相談に訪れた。会社員・小林遼(はるか)容疑者(23)が14日逮捕されたものの「しばらくの間、カウンセラーを配置しないといけないと思う」と考えているという。

「家の敷地でベンチに腰掛けるだけでも」

   子どもの見守り活動にあたる際、大人はどのようなことを心がけるべきか。NPO法人「日本こどもの安全教育総合研究所」(東京都)の宮田美恵子理事長は、15日のJ-CASTニュースの取材に「これまでと異なる種類の『目』をもつ必要がある」と話す。

   宮田理事長によると、2001年の附属池田小事件などを契機に、防犯パトロールを募る団体の加盟者数は増えてきたが、04年を最後にこの約14年間、頭打ちとなっている。「高齢者を中心とする活動」のため、なかなか増えないそうだ。

   宮田理事長は、見守り活動の参加者は主に小学校区の全体を歩くことで、犯罪抑止の役割を果たしてきた、と明かした。ただ、珠生さんの事件について「今回も友人と別れた後のタイミングを狙われた。踏切まで集団下校している間、本来は見守り隊なしでも問題ない」と指摘。その上で、

   「ほんの数メートルであっても、ひとりにさせないようにすることが大事。多くの近隣住民は家の中におり、見守りの『目』が届いていない。家の敷地で『見守りベンチ』に腰掛けてもらうだけでもいい。もう1つの『目』になってあげて」と説明した。

   一方、子どもが気を付けるべきことは何か。宮田理事長はその質問に「まずは大人が対策を講じ、安全な環境を整えてから」と答える。

「子どもが犯罪に巻き込まれた時にできることなんて、限られている。大人がそこに過剰な期待をしてはダメ。今回の事件は、大人が改めて考える機会とすべき。防犯ブザーなど子どもの防犯を議論するのは、その後です」

   子どもの安全に関する民間シンクタンク「ステップ総合研究所」(東京都)の「犯罪からの子どもの危機の実態に関する研究」によれば、小学6年男女の約42.3%が「怖いことが起こった時」に「走って逃げた」と回答。一方、「何もできなかった」と答えた子も21.0%にのぼる。

元刑事「町ぐるみで対応する必要あり」

   5月14日付の朝日新聞(ウェブ版)記事によると、珠生さんは事件当日の朝、「黒い服でサングラスをした男に追い回された」と友人に話しており、事件後も区内で2件の不審者情報が寄せられたという。容疑者は逮捕されたが、住民の不安がなくなるとは言い切れない。

   今後の防犯対策について、元警視庁刑事の吉川祐二氏は15日放送の「バイキング」(フジテレビ系)で「自分は大丈夫だという考えを捨てること、大声を出すことを指導する必要がある」と持論を述べ、「そして」と続ける。

「町ぐるみで対応する必要がある。小学生が下校する時間帯、行政が『小学生が○時○分、一斉に下校します』と放送する、それに基づいて町の人たちが道路に出て、水やりをする。そういうことも必要ではないか。家庭と学校、子ども本人だけで、解決は難しい」

   一方、教育評論家の水谷修氏は15日放送の「ワイド!スクランブル」(テレビ朝日系)で「一番恐れるのは、こういう事件が起きると模倣犯や類似犯が出てくる場合が多々あることだ」と警鐘を鳴らした。

「『83運動』といって、8時~15時に通学路に立ち、子どもたちを見守ろうという運動。これをぜひ全国の小中学校で徹底して、守ってあげてほしい」
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