2018年 11月 15日 (木)

イオンの「進化」に好感 「株価11年ぶり高値」の背景

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   流通大手イオンの株価が上昇気流に乗っている。2018年6月12日まで怒濤の9連騰を遂げる中で、07年7月に付けた2295円を超え、11年ぶりの高値更新を果たした。ダイエーの凋落などで斜陽産業とされてきた「総合スーパー」の採算が改善していることに加え、流通業としてのイオンの変身ぶりが改めて評価されているようだ。

   4月11日に発表された2018年2月期連結決算によると、売上高にあたる営業収益は前期比2.2%増の8兆3900億円、営業利益は13.8%増の2102億円、純利益は約2.2倍の245億円だった。このうち営業利益は6年ぶりに最高益を更新。営業利益は19年2月期の業績予想においても14.1%増の2400億円とふた桁増で最高益を更新する見込みだ。

  • 11年ぶり高値の背景とは
    11年ぶり高値の背景とは

総合スーパー事業が改善

   何が起きているのか決算を分解してみると、総合スーパー(GMS)事業の改善が大きく寄与していることが読み取れる。何しろ、2018年2月期の営業損益は105億円の黒字(前期は13億円の赤字)と黒字転換を果たした。専門店や食品スーパー、コンビニエンスストアなどに押されてただでさえ厳しい状況下、さらにダイエー買収という「負の遺産」もあり、これまで足を引っ張ってきた部門だが、わずかながら利益を生む体質にようやく変わりつつある。これが全体の営業利益を押し上げているのは間違いない。

   一方、全体の純利益が全体の営業利益に比べて低水準にあるのは、ダイエーをはじめとするグループの不採算部門の整理に費用がかかっているためだ。整理・再編にはなお数年かかるとみられるが、そのトンネルを抜ければ純利益においても高水準となることが期待され始めていると言える。

流通業態として現代化

   イオンの2018年2月期の決算内容を眺めると、もはや総合スーパーはグループの主力事業とは言えないことも浮かび上がる。全国各地に存在する「イオン」はショッピングセンターであり、総合スーパーだけで運営しているわけではない。ショッピングセンターに総合スーパーを併設する場合もあるが、主役ではない。むしろかつてライバルだった「ユニクロ」や「無印良品」といった専門店、あるいは人気の飲食店チェーンを誘致し、それらの商店街的な機能が主役となり、にぎわいを生んでいる。決算文書によると、ショッピングセンターを運営し、テナント料などで稼ぐディベロッパー事業の営業利益は515億円で、病み上がりの総合スーパーの5倍近い。これを上回る営業利益をあげているのが、クレジットカードなどの総合金融事業で697億円に上る。また、近年好調なのが「ウエルシア」ブランドのドラッグ・ファーマシー事業で、営業利益は277億円を稼いだ。

   つまり、総合スーパー事業を再構築しながら、流通業態として現代化を遂げているのがイオンということになる。これまでは株主優待を狙う個人投資家に人気があったが、ここへきて機関投資家も改めて目を向けており、2018年2月期の決算発表以降、みずほ証券やSMBC日興証券などが目標株価を相次いで引き上げた。足元では「貿易戦争」などで輸出銘柄の不透明感が増しており、内需株の一角を占めるイオンの株価が投資を呼び込んでいる。国際事業など課題を挙げればたくさんあるのは事実だが、稼ぐ力を素直に評価されていると言えそうだ。

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