高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
政治家と官僚の「仕事」は違う 「赤坂自民亭」騒動への違和感

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   西日本で記録的な豪雨があり、未曾有の被害が出ている。筆者は先週末に大阪で仕事があり、普通であれば当日朝に新幹線で行くが、大阪より先の新幹線運行によって、新大阪着の予定が遅れる可能性があったので、前日に大阪入りした。それでも、新幹線は2時間遅れであり、名古屋-大阪間で新幹線以外の連絡列車の遅れや兵庫県や京都府に大雨による特別警報がだされていることが頻繁に車内放送されていたので、豪雨被害が酷いことを少しは実感できた。

   豪雨被害は、平成では最大級である。そのため、安倍晋三首相は、欧州訪問をとりやめ、被災地を視察することとしている。

  • 政治家が行うべき「仕事」とは
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立憲民主党でも議員の政治パーティ

   その一方、立憲民主党など左派野党は、先週(2018年7月)5日夜に行われた安倍首相や自民党議員が衆院議員宿舎で開いた懇親会について、「赤坂自民亭」と批判している。

   筆者の感想をいえば、こうした政治利用はどちらの側からみても見苦しく、やめた方がいい。被災地の当事者の方が不快に思うならやめた方がいいが、被災地ではそれどころではなく必死に対応しているはずだ。こうした会合などを批判するのは、政治的に利用したい第三者である。

   案の定、5日夜東京・永田町の憲政記念館で立憲民主党議員の政治パーティがあった。やはり、左派野党お得意の「ブーメラン」になっている。

   そもそも、政治家には会合はつきものである。もし会合なしの政治家がいるなら、民の声を聞かないという意味で政治家たる職務を果たしていないともいえる。

   自民党や立憲民主党も、身内の会合を政治家が喜々としてSNSで発信することもいかがなものかという批判もあるだろうが、今やそうした時代である。

妙な自粛ムードは経済的な「二次被害」になる可能性も

   しかも、与党でも野党でも、もし政治家が会合をしていても、政府や官僚はきちんと動いている。今回の豪雨でも、特別警戒警報は早い段階で出されていた。こうした災害では、必ずしも政治家によるトップダウンは必要でない。政治家は、政府がうまく機能していない場合に重要な決断をする役目であり、官僚のように災害対応の日常業務を行うわけではない。かつての民主党政権のように、電卓を片手にもち政治家が官僚の仕事をして、政治家としてのパフォーマンスをアピールしていたのは滑稽であった。結局、財務省の手の上で、政治的な事業仕分けを行ったために、公共事業費は大幅なカットとなって、必要な予算を付けられず、その後の治水対策で後れをとるはめになった。不味い政治主導の典型である。

   政治家に限らず、被災地以外の人は、できるだけ平常の生活を維持する方がいい。被災地への旅行を予定していたのであれば、一時的に延期するのはやむを得ないが、時期をみて延期していた旅行も実施したほうがいい。被災地以外で妙な自粛ムードが広がると、経済的な「二次被害」になる可能性すらある。それは、自然災害を超えた「人災」にもなりうるので、よく注意したほうがいい。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に 「さらば財務省!」(講談社)、「『年金問題』は嘘ばかり」(PHP新書)、「大手新聞・テレビが報道できない『官僚』の真実」(SB新書)など。


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