2024年 4月 17日 (水)

大手紙が「誤報」連発 「財務次官人事」と「新潟知事選」の関係

「本命」に落ち着いた理由

   そこで、代わって浮上したのが浅川氏だ。麻生政権時代に首相秘書官を務め「麻生氏に最も近い財務官僚」とも言われ、信任は厚い。改ざん問題に関与もしていない。しかし、国際畑が長く、予算編成を担う「本流」の主計局の経験が少ないため、予算をめぐる政治家や他省庁との複雑な調整をこなせるのかという不安があった。省内では星野氏、浅川氏のいずれの場合でも、「異例の人事では組織がさらに動揺し、立て直しが遠のく」との懸念の声が噴出した。また、浅川氏については、後任の財務官と目される武内良樹・国際局長が、森友学園への土地売却交渉時に近畿財務局長を務めていたことから、世論の批判を浴びる心配もあった。

   国会情勢も影響した。国会では財務省への追及が続き、答弁を担当する局長級を動かすわけにいかず、結局、人事は通常国会閉会後まで先送りするしかなかった。状況をしばらく見極める時間的余裕ができたのだ。

   永田町、霞が関の空気が大きく変わったのが6月10日という。新潟知事選で与党が推す候補が当選し、安倍政権がひとまず窮地を脱する形になった。内閣支持率も40%前後で下げ止まる気配も出てくると、「岡本氏が昇格しても、それほど批判はされないのでは」(財務省有力OB)との見方も強まり、一気に岡本次官の流れができた。最終的に麻生氏も、「本命」の岡本氏による組織の立て直しを図る決断をしたということだ。

   いずれにせよ、「本命」に落ち着いたのは、「『森友問題に対する批判はやり過ごせた』とみたからではないか」(朝日7月28日社説)というのが大方の見方で、麻生氏が副総理兼財務相にとどまっていることも含め、安倍政権支持の論調が目立つ産経でさえ「危機はすでに終わったかのように映る。......組織内の秩序を優先させたとみられても仕方あるまい」(31日主張=社説に相当)と苦言を呈する。同じく親安倍政権の読売も「予算編成や税制改正など、財務省本来の職務をしっかり果たすには、財務省への信頼を取り戻すことが欠かせない」(28日社説)と書くように、体制を早期に立て直し、国民の信頼回復が待ったなしだ。

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