俳優・津川雅彦さんの死去を受けて、各メディアが追悼特集を組んだ。多くは役者としての、また亡き妻・朝丘雪路さんとのエピソードが中心だったが、2018年8月12日の「ワイドナショー」(フジテレビ系)では、ダウンタウン・松本人志さんが「拉致問題」解決のために尽くした側面に光を当てた。共演経験のあった歌手・武田鉄矢さんがかつての思い出を明かし、また出演者らが思い出に残る作品を語り合う。東野幸治さんが続いて、松本さんに話を振ると――。「娘さんが小さいときに誘拐されて...」「役者さんとして(の功績)は当然言うまでもないんですけど」――そう前置きした松本さんは、「拉致問題のことをすごい前向きにやってらっしゃって」と続ける。保守派の論客としても知られた津川さんが、特に力を入れたのが北朝鮮による日本人拉致問題だ。政府が2013年に作成した啓発ポスターにも登場、「親の愛は、世界を動かす。拉致問題は、私達すべての問題です」とのメッセージを贈っている。松本さんはこれほどに「拉致」にこだわった津川さんの想いを、こう想像した。「たぶんなんですけど、娘さんが小さいときに誘拐されて。たぶんそんな思いであったのかなあ、と僕は勝手に推測はさしてもらってるんですよね」よく知られている通り、津川さんは長女の真由子さんを1974年に誘拐された(無事解決)。実際に津川さんはポスター起用に当たっての会見で、「(拉致問題が)わが事に思える人間として参加させてもらった」と話し、かつての誘拐と、この問題を重ねて見ていたことを明かしている(共同通信ニュース、2013年7月2日付)。「娘を持つ親」として、松本も共感?当時拉致担当大臣だった古屋圭司・衆院議員は、このポスター出演が「ボランティア」、つまり報酬なしだったことをのちに明かしている(日刊スポーツ〈ウェブ版〉、2017年5月23日)。松本さんも、幼い娘を持つ父親だ。それだけに、津川さんの心情を、「全部ノーギャラでやってらして。やっぱり娘さんが一瞬でも、連れ去られたことの悲しさみたいなものを誰よりもよくご存じだったんじゃないでしょうか」と推しはかった。視聴者からも、この発言には反響が大きかった。「こういうのは、ぜひ伝えて欲しいなぁ」「松本さんよー言った!」「津川氏、あのポスターノーギャラだったのか......伊達に何度も天下人演じてないわ」「松ちゃんも娘さん溺愛しているし、津川さんの当時からの気持ちは痛い程、分かっていると思う」
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