2018年 11月 15日 (木)

日本と中国が手を結んだ 「EV急速充電器」に起きているコト

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   電気自動車(EV)の急速充電器を巡り、日本と中国の業界団体が、次世代規格を共同で開発するとした覚書を結んだ。高い技術を持つ日本と世界最大のEV市場である中国が規格を統一し、世界標準を握ることを目指す。

   日本の自動車向け急速充電規格「CHAdeMO(チャデモ)」の普及を進めるチャデモ協議会の志賀俊之会長(日産自動車取締役)が2018年8月28日、北京で中国側業界団体と覚書に調印した。

  • 日中が主導権を握れば世界標準に
    日中が主導権を握れば世界標準に

通信方式が共通だった

   急速充電器は、日本のチャデモ、中国の「GB/T」、欧米の「コンボ」の3大規格が主導権争いを続けている。メーカーは市場ごとにそこの規格に合う部品を搭載する必要があり、非効率だった。規格が統一されればコストを軽減でき、他国市場への参入も容易になる。

   2018年4月時点の設置台数はチャデモ1万8000基、コンボ7000基に対し、GB/Tは22万基と、EVの普及で先行する中国が圧倒的に優勢だ。ただ、GB/Tは故障が多いなど品質上、難点があり、安全管理でも日本が優れていることから、中国側が日本に協力を持ちかけた。中国では独フォルクスワーゲン(VW)や米ゼネラル・モーターズ(GM)などが高シェアを持つ中で、中国側が日本との提携を選んだのは、充電する際にクルマと充電器でデータをやりとりする通信方式がチャデモと共通だったことが追い風になったとされる。GB/Tの基礎技術を日本が提供してきた成果ということだ。

   現在の充電器の出力は日本が約150キロワット、中国は約50キロワットで、次世代規格では2020年をめどに500キロワット以上の充電器の開発を目指す。将来的に普及が見込まれる電動トラック・バスに採用される大容量電池の充電に対応するものだ。既存の乗用車のEVなら充電器1基で同時に10台近くを充電でき、現在、日本で30~40分かかる充電時間も10分以下に短縮できるという。

   従来、こうした国際規格では、欧米、特に欧州が世界標準を握ることが多く、日中が主導権を握ればレアケースと言える。日本としてはインドなどにも同じ規格の導入を働きかけていく考えだ。

ノウハウを吸い取られる懸念も

   世界標準を握れば日本のEVの輸出がしやすくなるほか、充電器メーカーの輸出などにもメリットがある。他の規格が世界標準になって、これまで充電器メーカーが投じてきた開発費が無駄になる事態も避けられるし、自動車メーカーも、いろいろな規格に合わせるための費用負担が不要になる。

   ただ、中国側に技術やノウハウを吸い取られる懸念もある。また、経済効果は限定的との指摘もある。どの規格であれ、その土地に合った規格の充電システムを搭載すれば、車はどこでも売れるわけで、例えばEVの電池など、その車の競争力の根幹を占める話ではない。

   それでも、「世界最大の中国の自動車市場、特にEV市場に逸早く手を伸ばせるメリットは大きい」と業界関係者は期待する。その果実を得るためには、中国への充電器輸出に制約を設けないなど、政府間の協力を含め、条件整備が欠かせない。

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