2024年 4月 27日 (土)

米中貿易戦争は軍事衝突まで進むのか 中国メディアの伝える切迫感

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冷戦期の米ソ対立とは異なる構造

   中米貿易戦争に解決の糸口は見いだせず、さらに深刻化する可能性もある。今回の貿易摩擦は両国間の相互不信と危機管理の欠如が高まったことによってもたらされたもので、将来的に両国関係に深刻な危機をもたらすことも予測されよう。

   最近、中国メディアが米国ペンシルベニア大学の著名な政治学者、アヴェリー・ゴールドスタイン教授が2013年の『国際安全』誌に掲載した論文をあらためて取り上げた。それによれば、「中米両大国が今後、中長期的に維持すると思われる対抗姿勢を比較検討してみると、両国間には短期的に貿易摩擦が引き金となる軍事衝突の脅威が迫っており、『危機の不安定性』(Crisis Instability)がよりいっそう軍事衝突の可能性を高める」と指摘している。

   ゴールドスタイン教授は、冷戦期における米ソの対立は現在の中米間のそれとは明らかに異なると考えている。

   まず第1に、中米両国のパワー・バランスが不均衡で、米国は物量においても、その質においても中国よりも優勢である。第2に、中米両国間には、冷戦期の米ソ間にあったような非常時における成熟したホットラインの連絡メカニズムがないことである。第3に、絶え間ない技術の発展で武器の威力や精度が向上し、同時に敵の動向を探るハイテク・センサーへの依頼傾向が強くなっている。仮にどちらか一方が敵のハイテク・センサーに対して先制攻撃を加えれば、相手の反撃能力を大幅に削ぐことが可能になり、このことも「先制攻撃」に躍起となる要因となっている。

   ゴールドスタイン教授の論文は、将来における中米両国の軍事衝突の可能性を検討したものだが、現在進行中の貿易戦争に対しても一定のヒントを与えてくれる。たとえば、「中国は中米間の実力の差や『危機の不安定性』を客観的に判断すべき」と指摘している。たとえば「中米間の経済貿易関係が緊密であり、それが両国間のバランスを保つ『バラスト』の役割を果たすと考えると、貿易摩擦と不安定な状況を軽視すべきではない」と警告している。

   歴史は、貿易戦争が本当の戦争につながった例を教えている。

(在北京ジャーナリスト 陳言)

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