2024年 4月 27日 (土)

保阪正康の「不可視の視点」
明治維新150年でふり返る近代日本(18)
昭和陸軍が振りかざした「独自論理」

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「現実の戦争」を「精神の戦争」に置き換える

   太平洋戦争下で、日本が決して負けない、最後は神風が吹くからとか、特攻隊員を神風特攻隊と称したのは、まさにこの書が原典になっていたからである。太平洋戦争に敗れたのは物量戦で圧倒的に戦力差があるのは歴然としていたからだとの論は、いわば可視化した枠内での敗戦論になる。しかし不可視の部分の敗戦論はまさにこの天皇を神格化し、現実の大元帥からもさらに上位に天皇を置くことによって現実の戦争を精神の戦争に置き換えてしまったからだったのである。天皇を現実に存命する生ある存在から、神としての存在に置き換えることによってこの戦争は悲惨なものに転化していった。

   昭和19(1944)年に入ってからの戦争指導は、軍政と軍令の一体化が図られ、陸軍では東條英機首相がこの一体化の元で独裁者のごとき振る舞いを続けている。海軍では海軍大臣の嶋田繁太郎が独裁者となってこの戦争でやりたい放題を続けることになった。昭和天皇はこのような状態に困惑して、そして政務室でただ一人悩まれていたのである。

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