2024年 4月 26日 (金)

福島「天栄米」に魅せられて ~お米マイスターの澁谷梨絵さんと訪ねるおいしいごはん旅~

提供:東京電力ホールディングス

「漢方薬」が土をつくる

   「おいしいお米が獲れる条件は土がいいかどうか。その次に水と気候です」と、澁谷さんはいう。視察先ではいつも、まず土にふれる。

5つ星お米マイスターの澁谷さんは、まず土にふれた
5つ星お米マイスターの澁谷さんは、まず土にふれた

   天栄米は無農薬、無化学肥料の「コシヒカリ」で、「特別栽培米」「ゴールドプレミアムライス」「漢方農法米」の3種類がある。その最も品質が高く、看板となっているのが「漢方農法米」。その名のとおり、漢方薬を煎じた滓(かす)を散布することで、土壌が改良され、極上のお米となる。もちろん、農薬も化学肥料も一切使っていない。

   天栄村の土は、もともと稲作に適している粘土質。肥料が流れにくいことが理由だが、そんな土に「漢方薬」を混ぜるのだ。

   天栄米栽培研究会の塚目剛(つかめ・つよし)さんは、「漢方薬の滓を土に撒くと、その栄養分を吸収するうえ、土の中で微生物が増えて土の力が伸びるんです。土の力が強いと病害虫に強い。土が痩せているといいお米がとれませんから。人間も軟弱だと風邪ひきやすいでしょ。それと同じですね」と説明。同じコシヒカリでも、「漢方米は間違いなく甘い」と、言いきる。

   澁谷さんは、「栽培研究会の農家さんの田圃は、飛んでいるトンボの数が全然違う。至るところにいっぱい、ワサーッと出てくる」と話す。それもまた、いい田圃の条件。

   漢方米を作りはじめて、10年。「この土は栽培研究会のみんなで耕してきた。いい土壌ができたら、いいお米がどんどんできてくる。土の力もあるけれど、村民の意識が上がっているからかもしれないねぇ」。班目会長はそう言って、胸を張る。

「涌井の清水」この水が天栄村の田圃に入っていく
「涌井の清水」この水が天栄村の田圃に入っていく

   天栄米がおいしい秘密は、もう一つ。村には鳳坂峠に、太平洋側に注ぐ阿武隈川水系の釈迦堂川と日本海側にまたがる阿賀野川水系の鶴沼川との分水嶺があり、村の天然記念物に指定される「涌井の清水」がある。

   地中から清水が湧き出す。

「やはり、うちの村はですね、全家庭が水道の蛇口をひねるとみんな山からの水が出るんですよ」

   班目会長が笑う。

   ボコボコと湧いてくる清水に、澁谷さんは「すごいキレイ。それに冷たいですね。まったく、なんの雑味もない。この水が(田圃に)入ってくるんですね」と驚く。

   混じりけなしの豊富な水が、肥沃な天栄村の田圃を育んできたのだ。

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