"第2のポケモン"といわれ、社会現象にもなった「妖怪ウォッチ」が苦境に陥っている。一時、10店舗以上あった、妖怪ウォッチの常設店「ヨロズマート」は閉店ラッシュが続き、ついに最後の店舗が営業を終える。子どもたちを再度振り向かせる打開策はあるのか――。好きなキャラ3位→圏外にゲーム、テレビアニメ、映画、書籍などクロスメディア戦略が功を奏し、14年に人気に火がついた妖怪ウォッチ。玩具を手がけたバンダイナムコホールディングスは"妖怪ブーム"の恩恵を受け、15年3月期(14年度)のIP(知的財産)別売上高では妖怪ウォッチが552億円とトップだった。しかし、以降は329億円(15年度)、104億円(16年度)と低迷が続き、17年度はトップ10から漏れて売上高は公表されなかった。それを裏付けるように、バンダイの「お子さまの好きなキャラクターに関する意識調査」では、17年に3位だった妖怪ウォッチが、翌年はトップ10圏外だった。常設店「ヨロズマート」は一時、東京、大阪、名古屋、札幌など全国に10店舗以上(小規模店なども含む)あったが、18年4月から閉店ラッシュが続き、唯一残っていた「福岡総本店」が19年2月24日に店を閉じる。スマホゲームではリリースが続く人気に陰りが見えるいま、妖怪ウォッチを大ヒットに導いたゲーム会社「レベルファイブ」は、スマートフォンに活路を求めている。『妖怪三国志国盗りウォーズ』(18年1月)、『妖怪ウォッチゲラポリズム』(5月)、『ポケモンGO』と同様に位置情報を活用した『妖怪ウォッチワールド』(6月)と立て続けにスマホ向けゲームを展開。そのほか『妖怪ウォッチメダルウォーズ』『妖怪ウォッチforスマートフォン』『妖怪大辞典』の3作品もリリース予定だ。『子ども消費者へのマーケティング戦略』(ミネルヴァ書房)の著書を持つ、関東学院大学の天野恵美子准教授(マーケティング)はJ-CASTニュースの取材に、広く愛される長寿アニメの特徴を3つ挙げる。「(1)子供に買い与えるか、買い与えないかを決定づける子どもの消費のゲートキーパー(門番)としての役割を持つ親や購買力を持つ大人に好かれるコンテンツであること(2)言葉遣いが基本的に丁寧で、親が安心して観せられる、買えるコンテンツであること(3)流行りもののような陳腐化する要素が入っていないコンテンツであること」当時のファン層の中心は小学生。今では中学生となりスマホを持ち始めるタイミングだろう。ブーム一巡後の「定番化」に向けては、スマホゲームが鍵となりそうだ。
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