2019年 7月 22日 (月)

「高校ボクシング不正」は氷山の一角か 野球、陸上...問われる運動部の指導体制

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   東福岡高校(福岡市博多区)は同校ボクシング部の男性監督を不正行為により解任し、無期限の謹慎処分にしていたことが発覚した。2019年2月13日付けの西日本新聞WEB版など各社が報じた。報道によると、男性監督は昨年11月、競技経験8カ月以上の出場資格を持たない6選手を不正に選手登録。このうち3選手は試合に出場したという。

   ボクシングは頭部に打撃を与える危険を伴うスポーツで、国内の高校生が出場する大会では、連盟が安全性を考慮して出場資格に関する規則を定めている。高校のボクシング部に入部した未経験者が公式戦に出場するには、8カ月以上の競技経験を積むことが必須で、実戦練習などを経て初めてリングに上がることが可能となる。

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出場資格証明書の虚偽記載、嘘の説明指示も

   一方で、プロやアマ専門のジムで競技経験のあるものは上記の規定に当てはまらず、1年生でも公式戦出場が可能となる。今回のケースはこの規定を悪用した形で、報道によると、男性監督はルール違反だと分かっていながら一部の選手に、資格証明書への虚偽記載や、「高校入学前からジムに通って練習していた」と嘘の説明を指示していたという。

   ボクシングの競技経験については、成長過程において個人差があるため見た目で判断がつきにくいところがある。競技を始めてから3カ月程度の者でも、センスがあれば実戦形式のスパーリングを難なくこなす者もいる。ただし初心者ゆえに危険を伴うことに変わりなく、男性監督の行為は生命をも脅かしかねない極めて危険なもの。実際、試合に出場した選手のひとりは、試合後に頭痛を訴え、試合会場で医師の診察を受けたという。

   この男性監督はなぜ経験の浅い選手を試合に出場させたのか。選手が出場した大会では、個人戦の勝利が団体戦のポイントに加算されるため、団体戦の成績を上げるためにルールを無視して選手を起用したのではとの見方もある。学校教育の一環として行われる高校の部活動で、結果を求める指導者による横暴は、残念ながら今回の件に限らず多くの競技で見られる。

高校野球は投手の球数、陸上では鉄剤注射に警鐘が

   甲子園大会が開催されるたびに論争を巻き起こす高校球児の球数問題。勝利至上主義における弊害という声が上がり続ける中、これまで改善されることはなかったが昨年、新潟県高校野球連盟が、投手の投球数に関して制限を設けた。1試合につき1人100球までとするもので、公式戦では全国初の試み。杵鞭(きねむち)義孝・県高野連専務理事は、この制度を導入する理由を「県内大会に限るが複数投手の育成、障害予防が狙い」と説明した。

   投手の投球数については、昨夏の甲子園大会でも大きな話題となった。秋田・金足農高の吉田輝星投手(18)=現日本ハム=が決勝までの6試合で投じたのは881球で、秋田大会を合わせると1517球にのぼった。将来を案ずるファンや、プロ野球関係者から批判の声が多く寄せられ、金足農高ブームも相まって社会問題化した。

   また、陸上においては昨年末、高校駅伝部の一部指導者が、「貧血治療」を理由に日本陸上競技連盟が危険性を警告している鉄剤注射を生徒に打たせていたことが判明。医療行為である鉄剤注射はドーピング行為には当たらないものの、血中で酸素を運ぶヘモグロビンを増やして持久力向上の効果が見込める。その反面、過剰に投与した場合、内臓に悪影響を与える恐れがあり、高校時代に鉄剤注射をした選手が大学進学後に体調を崩すケースも見られるという。

   少子化により、高校の運動部は十分な部員を確保できず、存続問題など厳しい状況に直面している。部を存続させるためには学校から結果が求められ、一部の指導者は本来の学校教育の理念から遠ざかり、勝利至上主義へと傾く。今回のボクシング部の問題に限らず、近年、高校の運動部に端を発する様々な問題が山積しており、指導者の資質が問われる。

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