2024年 4月 20日 (土)

「佐川急便」との統合近い? 注目集める日立物流の動向

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   国内物流大手の一角を占める日立物流が、投資家の注目を集めている。足元の業績が堅調なことに加え、佐川急便を傘下に置くSGホールディングス(HD)との経営統合協議の進展への期待感から投資家の買いが集まっている形だ。

   耳慣れない会社かも知れないので、まずはその沿革などを紹介しよう。

  • 京都市のSGHD本社(L26さん撮影、Wikimedia Commonsより)
    京都市のSGHD本社(L26さん撮影、Wikimedia Commonsより)
  • 京都市のSGHD本社(L26さん撮影、Wikimedia Commonsより)

日立製作所の子会社としてスタートしたが...

   社名に日立がつくのは当然、日立製作所のグループ企業であるからで、1950年に日立製作所の輸送業務を担う子会社として設立された。全国の日立製作所の事業所とグループ内外の取引先を結ぶ役目を果たすなかで、ただ荷物を運ぶだけでなく倉庫保管や工場内作業のようなことを含めた企業の物流を一括して受注する「サード・パーティー・ロジティクス(3PL)」と呼ばれるビジネスモデルを確立。その実力から、日立グループ以外の荷主からの受注も数多く獲得してきた。

   大きな転機は2016年3月30日だった。日立製作所、日立物流、SGホールディングス、佐川急便が東京都内で記者会見し、資本・業務提携するとともに日立物流と佐川急便の3年以内の経営統合を目指すと発表した。日立製作所が進める「選択と集中」と、法人物流を拡大したいSGHDの思惑が一致したのだった。提携によって日立グループが持つ約59%の日立物流株のうち、約29%を875億円でSGHDに売却。日立物流は佐川急便株約20%を663億円でSGHDから買い取る。相互出資によって「佐川急便・日立物流」は国内物流首位の日本通運に次ぐ2位グループに浮上。日立物流の現在の筆頭株主はなお29.95%を持つ日立製作所だが、28.94%のSGHDがわずかな差で続いており、日立物流は日立製作所の連結対象から外れている。

経営統合が先でも期待感は高く

   日立物流は資本関係のみならず、実際の業務でも「親離れ」を進めており、すでに現在では日立グループ以外との取引が全体の8割強を占めるとされている。2018年10月には中国などとの国際貨物輸送に強みを持つ中堅物流のエーアイティー(AIT)と資本業務提携するなど物流企業としての進化を続けている。業績は拡大を続けており、1月31日に発表した2018年4~12月期連結決算(国際会計基準)は売上高が前年同期比1.9%増の5358億円、営業利益が9.9%増の240億円、純利益が12.7%増の174億円と増収増益だった。

   佐川グループとの提携発表以来、日立物流の株価は右肩上がりだが、足元では「3年以内」と発表されていた経営統合を意識する投資家の関心を集め、2月19日から22日まで4営業日連続で上昇来高値を更新した。3月に入っても上場来高値圏で推移している。

   3年以内の経営統合となればまもなくその期限となるタイミングだが、今のところ、そうした動きは少なくとも表面化していない。ただ、この間、SGHDが2017年12月に東証1部に新規上場したことでSGHD株の市場価値が客観的になったことに加え、SGHDの企業統治の透明度が高まり、経営統合に向けた下準備は整いつつある。

   そうした中で、時価総額で日立物流(3683億円)の3倍近くに上るSGHD(1兆502億円)が日立物流を買収する形で経営統合するとの思惑が投資家に募る。日立製作所が保有する日立物流株をさらにどこまでSGHDに売却するのか不明な中、株式の公開買い付け(TOB)の際のプレミアム(上乗せ金)への期待感が高まっているのが現状だ。

   たとえすぐに経営統合にいたらずとも、拠点の共同利用などで提携による効果は着実にあがっており、日立物流株はさらに上値を追う展開となる可能性がある。

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