2024年 4月 20日 (土)

新元号、手話通訳が「誤訳」? 発表会見で「めいわ」と伝えるも...専門家「大きなトラブルでない」

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   新元号「令和」が発表された菅義偉官房長官の会見で、隣の手話通訳の男性が「れいわ」を「めいわ」と「誤訳」していたとして、インターネット上で議論が起きている。

   手話通訳を責めるような声より、事前に新元号を伝えておけば防げた誤訳だったのではないかと指摘するものが多い。

  • 新元号の「令和」
    新元号の「令和」
  • 新元号の「令和」

「いくら極秘でも直前に...」

   2019年4月1日午前に会見した菅氏は、新元号をまず口頭のみで「れいわ」と発表した。同時手話通訳者は五十音を表す手話3文字で伝えたが、1文字目は人差し指と親指の先をくっつけて丸をつくり、他3本の指を広げる表現。これは「め」を表していた。

   同時手話通訳が示した2・3文字目は「い」「わ」で、合わせると「めいわ」になったのだ。直後、菅氏は新元号「令和」の書が入った額を両手で持ち、正面に向けた。

   菅氏は会見中、出典が「万葉集」だと説明する時などに「令和」と何度か口にした。最初の1回以外、手話通訳の1文字目はカタカナの「レ」を作るように人差し指と親指を伸ばして上に向け、他3本の指は握る形。「れ」となっていた。

   最初の「れいわ」が手話通訳の上では「めいわ」となったことにツイッターではさまざまな意見が出た。以下のように、聞き間違えても仕方がないとするものや、読み仮名が極めて重要な意味を持つだけに「会見前に知らせておくべきだったのではないか」とするものだ。

「『め』と『れ』の発音が似ているから手話通訳者はめいわと聞こえたかもしれない」
「やっぱり何度見返しても、『れいわ』を聞き違えて『めいわ』ってやっちゃった手話通訳さんが哀れで仕方がない。拡散の余地もないくらいのタイミング(会場入る寸前とか)で教えといてあげればいいものを...可哀想に...せっかくの選ばれし大役なのになぁ...」
「今回の手話誤訳問題、もっと大きく取り上げた方がいいと思うんだ。つまり通訳者には前情報が何もなかったってことでしょ?」
「いくら極秘でも直前に通訳の人に『れいわ です宜しくお願いします』って知らせておければ良かったのに...通訳って大変」

「現場では起こること」

   J-CASTニュースは2日、社会福祉法人・全国手話研修センター(京都市)の小出新一・常務理事に改めて新元号発表会見の手話を動画で見てもらった。小出氏は「確かに『めいわ』になっていますね」とするも、次のように話す。

「『れ』と『め』は聞き分けづらい音です。私どもの感覚ですと突然聞いた時に間違えるのは止むを得ませんし、現場では起こることだと思います。ずっと間違えていれば大きな問題になりますが、すぐに修正すれば問題ありません。

新元号の会見に出た手話通訳者は本当にトップレベルの方です。すぐに対応して『れいわ』に修正しています。なので、耳が聞こえない方が見て最初の『めいわ』は違ったんだなと分かるはずで、『め』の間違いを指摘されることはないでしょう」

   そのため、「手話通訳としては大きなトラブルではありません。いわゆる『誤訳』には最終的にはなっていないと思います」と見解を述べた。

   「事前に知らせておくべきだったでは?」という意見に対しては、「会見前にきちんと打ち合わせができるに越したことはないのですが...」としてこう話す。

「事前調整ができなかったのではないかと思います。新元号の閣議決定から会見まで1時間しかないスケジュールで、会見開始が予定の11時30分より10分ほど遅れましたよね。すでに10分遅れている中で、さらに遅れさせることは難しいだろうと思います。打ち合わせができなかったのは致し方ないところかと思います」

「できれば新元号の手話を(事前に)作って」おきたいと要望したが...

   全国手話研修センターは「令和」の標準手話を2日午後に発表した団体だ。5本の指を上に向けてすぼめた状態から、手を前に動かしながら指先を緩やかに開くことで「令和」そのものを表せることになった。

   「れ」「い」「わ」と1文字ずつ示す必要がなくなるが、それだけではない。公式サイトで「花のつぼみがゆるやかに開き、やがて花びらが環(わ)となった指先からふくよかな薫りをはなち、和みゆくさまを表しています」と説明しているように、「令和」に込められた意味をより的確に表現していると言える。

   1日の新元号発表会見から丸1日経ってからこの手話が発表される段取りとなったが、小出氏は「できれば新元号の手話を(事前に)作って、官房長官の隣で読み仮名と一緒に示したいと要望していたのですが、スケジュールの問題などから『(事前に伝えることは)できない』ということでした」と話す。その上で、手話通訳者についても「会見での発表を聞いた時に初めて知ったのだろうと思います」としていた。

(J-CASTニュース編集部 青木正典)

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