2024年 4月 27日 (土)

天皇陛下は「下町ロケット」がお好き? 平成後半の「ご視察」、中小企業に熱心だったワケ

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社員食堂で社員のみなさんと一緒に食事をしたい

   たとえば、「東日製作所」(従業員約130人)はねじを締めるトルク工具ひとすじの一見地味な会社だ。しかし、たった1本のねじが緩んでいただけで、自動車事故や橋の落下事故などにつながる。同社が作っているのは、そのねじの緩みを絶対許さないトルク機器だ。力が弱い人でも規定の力で締め付けることができるトルクレンチや、一連のねじ締め作業が間違いなく行われたかをチェックする管理システムまで手掛けている。

   「住田光学ガラス」(従業員約380人)は光のエネルギーをガラスの中に蓄えて発光する「蓄光ガラス」を世界で初めて発明し、「光ファイバー」のシェアの60%を占める「大きな町工場」だ。

   例外は、平成27年(2015年)のトヨタ自動車元町工場(豊田市)と、29年(2017年)の日本ゼオン川崎工場の視察だ。トヨタでは、世界初の量産型燃料電池車「MIRAI」(ミライ)」の生産工程を、日本ゼオンでは液晶ディスプレイの加工実験などを見学された。

   陛下はどんなお気持ちで熱心に中小企業を回られているのだろうか。大企業から中小企業へ、なぜ変わられたのだろうか。J-CASTニュースの取材に応じた中小企業庁の担当者はこう説明した。

「陛下がどんなお気持ちなのか、こちらではわかりませんし、コメントする立場ではありません。ただ、従業員1人1人に非常に熱心に声をかけられているのは確かです。東京の下町の会社を視察された時、会社側が事前に『お昼の仕出し弁当を用意しましょうか』と宮内庁に聞いたところ、『陛下は社員食堂で皆さんと一緒に食べるのを望んでいる』という返事があり、実際に社員食堂で従業員と同じものを食べられたと聞いています」

   視察する企業はどうやって決めるのか。陛下の方から「中小企業に行きたい」という希望を出されるのだろうか。担当者はこう語った。

「陛下でも、大臣でも、企業を視察する場合は、先方からどういう企業を見学したいのか、『ご要望』というものが経済産業省に伝えられます。経済産業省は縦割り組織ですから、すべての局に要望にあった企業候補を複数提出させて、それを宮内庁に渡します。その中から宮内庁が選んでいるのですが、実際に、陛下が中小企業を希望されているかどうかはこちらではわかりません」

   そこで、経済産業者の担当者に「どういう要望が宮内庁から来ているのか」と聞くと、「こちらではお答えできない。宮内庁に聞いてほしい。ただし、こちらが渡した企業のリストには毎回、大企業も中小企業も入っています」とのことだった。となると、宮内庁ではここ20年間、ほぼ中小企業ばかりリストの中から選んでいることになるが......。

   陛下の「ご視察」を担当する宮内庁官房総務課行幸啓係に電話すると、総務課報道室に電話が回されて、こんな答えが返ってきた。

「経済産業省から推薦された企業の中から選んでいます。個々の案件の事務の詳細については回答しないことになっています」

(福田和郎)

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