2024年 4月 27日 (土)

日本でも、MMTへの注目が高まる背景

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   「財政赤字は問題ない」という米国生まれの新理論が話題になっている。「Modern Monetary Theory」、略称「MMT」といい、日本語では「現代金融理論」「現代貨幣理論」などと訳される。

   同理論提唱者の米学者が日本のアベノミクスが実例だと主張し、国内でも論争に発展している。その背景とは。

  • MMTへの注目は高まるが…(画像はイメージ)
    MMTへの注目は高まるが…(画像はイメージ)
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米サンダース氏のブレーンが提唱

   MMTは、通貨発行権を持つ国家は紙幣を印刷すれば借金を返せるのだから、財政赤字で国は破綻しないと説く。実際には通貨を発行する中央銀行が国債を買いいれるということだ。提唱者であるニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授は「民主社会主義者」を自称するバーニー・サンダース上院議員のアドバイザーで、民主党左派が医療保険など低所得者支援や環境対策のため財政支出を拡大するべきだという主張の理論的根拠になっている。

   不況の時に国債を発行して公共事業を拡大して景気を回復させるという「ケインズ経済政策」はいくらでも例があるが、これは短期的政策で、ケインズ自身も、景気が回復して税収が増えたら国債の借金を返すと言っている。

   MMTが単なる財政出動と違うのは、長期的に財政赤字を続けてもいいということだ。といっても、いくつかのポイントがある。まず、国債を発行するという時、自国通貨建てというのが大前提だ。アルゼンチンなどの途上国の例を見るまでもなく、ドル建て債券を国際市場で発行し、自国経済が悪くなって返済できなくなり、債務不履行になることがありえるからだ。そう考えると、基軸通貨国であるアメリカのほか、国債を国内で消化できる日本などはMMTが可能ということになる。欧州連合(EU)のユーロ圏は、各国が自由にユーロを刷れないから、ギリシャのように財政破綻状態になりうるので、MMTはできない。

   もちろん、お札をバンバン刷ればインフレになるというのが経済学のイロハで、MMTも、「インフレとならない限り」と前提条件をつける。ただ、MMT論者は、簡単にハイパーインフレは起きないし、兆候があれば財政を正常化すればいいと主張し、そもそも通貨発行と課税によって秩序ある財政赤字を続けられると考える。課税については、財政を賄う面とともに、再配分(格差是正)や温暖化防止といった政策誘導の道具として積極的に位置づけてもいるのは左派らしい一面だ。

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