2024年 4月 25日 (木)

立憲の候補予定者、相次ぎ「消費税ゼロ」主張 党方針は「増税凍結」だが...

   2019年夏の参院選で立憲民主党の公認を得て出馬する候補予定者の中に、19年10月に10%に引き上げられる消費税率を「ゼロ」にすべきだと訴える人が出始めている。この訴えは有権者に浸透しやすい可能性もあるが、「増税凍結」をうたう党の方針とは開きがある。

   2人の発言について問われた枝野幸男代表は、党の決定について「しっかりご認識、共有いただいていると思っている」と多くは語らない。立憲の最大の支援団体でもある連合が、税率の引き上げを求めていることも背景にあるとみられる。

  • 定例会見に臨む立憲民主党の枝野幸男代表。「この参院選に向けて『ここから当面の間は消費税を上げない』ということが党の決定」だと強調した
    定例会見に臨む立憲民主党の枝野幸男代表。「この参院選に向けて『ここから当面の間は消費税を上げない』ということが党の決定」だと強調した
  • 定例会見に臨む立憲民主党の枝野幸男代表。「この参院選に向けて『ここから当面の間は消費税を上げない』ということが党の決定」だと強調した

党の方針「しっかりご認識、共有いただいている」

   現時点で「税率ゼロ」を訴えているのは、比例区から立候補する、お笑い芸人のおしどりマコ氏(44)と、宮城選挙区(改選数1)で野党統一候補として立候補するアナウンサーの石垣のりこ氏(44)。いずれも新人だ。おしどりマコ氏の5月24日のツイートによると、「党の方針に従え」といった声が寄せられるといい、

「立憲民主党の方針でこれぞ!と思ったのが『ボトムアップ!』です。真逆じゃない??消費税が何%か、議員の先生方だけで決めちゃっていいの?私たちも考えて議論すべきじゃないの?」

と反論している。

   この2人の主張は、5月31日に行われた枝野氏の定例会見でも話題になった。党として容認するのか、と問われて枝野氏は

「将来、どうあるべきかということについては、党内においても様々な多様な意見があると思っているが、この参院選に向けて『ここから当面の間は消費税を上げない』ということが党の決定であるということは、候補予定者の皆さん、しっかりご認識、共有いただいていると思っている」

と返答。政策面での距離を浮き彫りした。

枝野氏の至近距離でも「私はゼロでいいと思います!」

   翌6月1日に仙台市内で行われた街頭演説では、石垣氏は、応援に来た枝野氏がすぐ後ろにいる状態で消費税に言及。消費税の逆進性を理由に「弱いものいじめの税金」だとした上で、立憲民主党が10%への引き上げに反対していることについては「もちろんじゃないですか!もちろんです。今、10%になんて上げていられない」。さらに、消費税「ゼロ」を訴えて聴衆からは拍手が起こった。

「そして、いま話したことから、10%に上げていられないどころか、こんな、庶民の生活を苦しめる消費税、私はゼロでいいと思います!」

   この直後に演説した枝野氏は家計収入を底上げする重要性を強調。サービス残業をやめさせたり保育士や介護職員の賃金を上げたりすることを訴えたが、「消費税」の3文字が登場することはなかった。

連合・神津会長「ただいたずらに先送りすればいいということではない」

   連合(日本労働組合総連合会)は18年11月に立憲・国民の両党と参院選に向けた政策協定を結んでおり、連合はこれに基づいて両党を支援したり、公認候補を推薦したりする。

   神津里季生会長は19年1月の会見で、10%への引き上げについて

「ただいたずらに先送りすればいいということではない」

と着実な実施を求めた上で、

「本来この消費税は、やっと今度10%に3度目の正直で上げるということになるが、これでもうフタが閉まるというふうに思っている日本の国民はあまりいないと思う」

として、将来的にはさらに引き上げが必要になるとの見方を示している。枝野氏としては、こういった声に配慮した可能性もある。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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