2019年 10月 15日 (火)

井上尚弥VSネリ、もし戦えば...? 「井上勝利」を記者が確信する理由

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   ボクシングの前WBC世界バンタム級王者で現在同級1位ルイス・ネリ(24)=メキシコ=が、7月20日に米ラスベガスのリングに上がることが決定した。

   対戦相手は元WBAスーパー王者で同級4位フアン・カルロス・パヤノ(35)=ドミニカ共和国=。ネリは体重超過での王座はく奪処分から復帰4戦目となる。

  • 井上尚弥(2016年撮影)
    井上尚弥(2016年撮影)

ネリの標的は弟・拓真ではなく兄・尚弥

   ネリを語る上で欠かせないのが、彼の素行の悪さだ。元WBC世界バンタム級王者・山中慎介氏との2度にわたる対戦では、ドーピング騒動に体重超過による王座はく奪など、リング外のトラブルで世間を騒がせた。日本では「問題児」と称され、ボクシングの本場である米国でも悪名高く、「ティファナのバッドボーイ」と揶揄するメディアも。日本ボクシングコミッション(JBC)はネリの行為を問題視し、事実上の永久追放処分を科している。

   リングの外では「問題児」のネリだが、リング上のネリは強打を誇る世界トップクラスのパンチャーだ。サウスポースタイルから打ち下ろすように繰り出される左のロングフックは脅威で、回転の速い連打は大きな武器となっている。3月16日の試合では、元IBF世界スーパーフライ級王者マクジョー・アローヨ(33)=プエルトリコ=と対戦し、4度のダウンを奪う圧勝劇でデビューからの連勝を「29」とした。

    日本のボクシングファンにとって憎き「悪役」は、現在、WBCバンタム級の1位にランクされ、指名挑戦者の権利を有していることから近い将来、タイトル戦のリングに上がることになるだろう。現在、WBC同級の世界王者は正規王者にノルディ・ウーバーリ(32)=フランス=、暫定王者に井上拓真(23)=大橋=が君臨し、今後の展開次第では井上拓真との対戦の可能性もあるだろう。ただし、上記の通りネリは日本のリングに上がることが出来ないため、対戦するならば海外でのリングとなる。

   ただ、ネリ陣営が対戦を熱望するのが、弟・拓真ではなく、兄の尚弥(26)である。当然、7月20日の試合での勝利が大前提となるが、ネリ陣営が描くタイトル戦の青写真は、井上尚弥もしくはウーバーリへの挑戦だ。一方、ネリ本人は、この2人以外にWBA同級スーパー王者ノニト・ドネア(36)=フィリピン=の名を挙げ、「自分の準備と才能、そして自分のボクシングなら、どんなチャンピオンでも倒せると思う」と、過剰気味の自信を見せている。

   実際のところ、ネリは井上尚弥を脅かすほどの実力者なのだろうか。ファイタータイプのネリの一番の持ち味は、荒々しい攻撃だろう。サウスポーであることもアドバンテージになっている。右のジャブの使い方はいたってオーソドックスだが、左のフックはやや変則的である。オーバーハンド気味に打ち下ろすフックの軌道は独特のもので、スピードもある。

井上が演出する「空間」にネリはやられる

   右構えのボクサーからすれば、外側の見えづらい角度からいきなりフックが飛んでくる。このパンチを意識しすぎると、次は右ボディーが腹部を襲う。一見、ラフな攻撃も、体の回転をうまく利用し、上下にパンチを打ち分けている。ネリの場合、一発で相手を倒すというよりも、回転力あるコンビネーションで崩し、ガードが下がったところに左を打ち込むシーンがよく見られる。

   高い防御技術を持つ井上尚弥に、ネリの左フックはおそらく通じないだろう。スピードがあるとはいえ、距離が遠すぎる。ネリは井上尚弥ほど距離を取るのがうまい選手ではない。井上尚弥は、KOパンチを放つ空間を作り出す天性のものを持っている。絶妙なる距離感を試合の中で自ら作り出すのに長けた選手である。

   記者の想像に過ぎないが、井上尚弥はネリの左フックに内側から右ストレートを合わせてくるだろう。例えスピードが同じでも、弧を描くフックと真っすぐな軌道のストレートでは、ストレートの方が速く相手の顎をとらえる。しかもパンチはカウンターとなるため、威力は倍増する。井上尚弥の右は恐ろしいほどの精度を誇り、一撃必殺のパワーを秘める。またも想像の域を脱しないが、井上尚弥がネリの左を見切った時点で試合は決着するだろう。

   ボクシングというスポーツを侮辱、冒涜するような失態を犯したネリに対しては、ボクシングファンは思うところがあるだろう。ただ、そのような感情を抜きに井上尚弥とネリの対戦を想定してみると、やはり井上尚弥の勝利は動かないと記者は考える。ネリは井上尚弥が演出する「空間」にやられてしまう。記者は半ば確信している。

(J-CASTニュース編集部 木村直樹)

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