2019年 12月 7日 (土)

「休眠アカウント削除」ひとまず撤回も... 故人のツイッター、どう扱うべき?識者に聞く

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   米ツイッターが、アクティブでないアカウント(休眠アカウント)の所有者に対し、2019年12月11日までにログインしなければアカウントを削除する連絡をしていると、日本時間の11月27日までにメディアで報じられ、ネット上で疑問の声が相次いだ。

   特に議論を呼んだのは、所有者が亡くなった「故人アカウント」の扱いをめぐる問題。J-CASTニュースでは、識者に見解を聞いた。

  • ツイッターが新たに示した方針(Twitter Supportのツイートより)
    ツイッターが新たに示した方針(Twitter Supportのツイートより)

「現世の思い出消さないで」批判受け一転撤回

   報道を受け、ネット上ではツイッター社の方針を疑問視する声が相次ぎ、

「死者の生きていた証を消す権利があるのか」
「現世の思い出を消さないでください」
「故人を偲ぶ為のツールの1つになっていることをTwitter社は理解して欲しい」

などの反応が寄せられた。

   米ツイッターは日本時間の2019年11月28日未明、以前示していた「休眠アカウント」削除の方針について、「亡くなられた利用者のアカウントを保存するための新しい手段を準備するまでは、アクティブではないアカウントを削除することはいたしません」と新たな見解を示した(引用文はいずれも、28日午後にTwitter Japan公式アカウントから投稿された日本語訳)。

   ツイッター側は、今回の措置は「EU(欧州連合)域内のアカウントのみ」であり、これは「同地域の一般データ保護規則(GDPR)に準拠することが目的でした」という。

   しかし、「亡くなられた利用者のアカウントに与える影響について多くのご意見が寄せられました」ことは「弊社のミス」と認めた上で、上記のようにアカウント削除を当面行わない姿勢を表明。一方で「アクティブではないアカウントに関するポリシーの適用エリアを拡大する可能性」は引き続き存在するとし、「その場合は利用者の皆さんに適宜情報を周知いたします」。

   「混乱を招いたことを謝罪するとともに、今後の方針についてはその都度お知らせいたします」と結んだ。

対応「焦った」ツイッターの失敗

   今回騒動になったツイッターの方針や転換、SNS上における「故人アカウント」の意義などを識者はどう見ているか。J-CASTニュースは2019年11月28日、持ち主が死去したまま、ネット上に遺されたサイトを追った『故人サイト』(2015年、社会評論社)の著書がある、フリー記者の古田雄介氏に見解を聞いた。

   古田氏は、ツイッターの示した方針について「猶予が2週間しかなかった。(ログインの期日が)12月11日で反発必至。騒動になるのは目に見えていた。何か(ツイッターが)焦っていたのかなという印象はありました」とみる。

   「焦りの背景」を、「最近のGDPRなどヨーロッパの一般データ保護規則によって、GAFA(編注:ガーファ(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン))が矢面に立っているが、たくさんのユーザーを抱えている巨大IT企業は個人情報を保護しないといけないなど、情報発信の安全性の偏りをなくすように努力しないといけないと最近、言われるようになった。そういったことを規制しようとすると、休眠アカウントは、規制などの方向転換しようとしても人の意思が介在しないから、動いてくれないので重荷になってしまう。いっそのことなくしてしまおうということなのかなと思う」。

「亡くなった人のつぶやきなどは、その人が残していったかけがえのない痕跡」

   一方で、ツイッターが今後考えなければならない課題点にも触れた。

「SNSで追悼のページといえば、フェイスブックが一番有名と思うが、フェイスブックは本名での登録が前提のサービスなので本人同定がしやすい。一方ツイッターではもともとチームアカウント、例えば、若い子らだと彼氏彼女で同じアカウントにする、法人さんが〇〇株式会社のアカウントを取ったり、例えば私が死んだ後に遺族が、古田のアカウントチームとしてやることも認めていたりする。では、その中の1人が亡くなった時に、そのアカウントは『死んでいる』のか。そうした規定が難しい」

   ツイッターの特性にも触れた。古田氏は、「アカウントを取る時、フェイスブックに比べると、個人情報を提供する部分が簡素。電話番号やメールアドレスが必要ですが、本名を求めるわけではなかったりする。そういった時に、例えば、Aさんが亡くなったとして、このアカウントは絶対Aさんのものと後から裏付けるのがすごく大変」と指摘する。

   ツイッターは今後、どうしていったらよいのだろうか。たとえば、持ち主が亡くなったアカウントを「追悼アカウント」とするような方法も考えうるが、古田氏は、「ユーザー任せで追悼(アカウント)にいくらでもでき、もしも間違いだったり引き継ぐ人がいたりしたら復活できます、といった可逆的なサービスにすると、追悼の意味合いも薄れてくると思う。そのあたりのハンドリングが今後の命運を握るのではないか」と説く。一方、「本人が本当に亡くなっていなく、いたずらで『追悼申請』をする人は、2度と申請ができないようにするなど、何かしら柔軟な、かつ公平な仕組みをつくらないと普及しないのでは」と話していた。

   SNS上における「故人アカウント」の意義とは――。古田氏はツイッターが最初に掲げた方針に触れたうえで、このように語った。

「ツイッターの最初の間違いは、『休眠アカウント』と『放置アカウント』、いわゆる捨てアカ(編注:捨てアカウント)を一括りにしていて、故人の更新が止まっているアカウントと同一視してしまったこと。亡くなった人のつぶやきなどは、その人が残していったかけがえのない痕跡。アカウント自体はもう二度と更新されることはないとしても、1年に1回命日に、最後の投稿に対して、『お前は死んでもう1年』や『2年だな』などとコメントをする、見る人がいる、アクセスする人がいるし、アクセスをしなくても残したページが存在するだけでも価値がある。データだから置き換えが可能という議論もあるが、その人が生前から使っていた場所という意味ではかけがえのないものになる」

(J-CASTニュース編集部 田中美知生)

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