2020年 11月 26日 (木)

「せめて墓標を」──遺骨収集にこだわる国に、シベリア抑留者遺族が訴えたいこと【71年目の死亡通知】(下)

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   シベリアで抑留中に亡くなった父親の死亡通知が、71年ぶりに届いた。現地を訪ねると、父親の埋葬地はゴミ捨て場と化していた。荒れ放題の埋葬地、そして掛け声だけの遺骨収集から見えてくるものは──。

【71年目の死亡通知】(上)から続きます

  • 国が進める遺骨収集事業。しかし、その現状は…(ロシア・ハバロフスク地方での遺骨収集の様子。厚労省「戦没者慰霊事業の概要」より)
    国が進める遺骨収集事業。しかし、その現状は…(ロシア・ハバロフスク地方での遺骨収集の様子。厚労省「戦没者慰霊事業の概要」より)
  • 国が進める遺骨収集事業。しかし、その現状は…(ロシア・ハバロフスク地方での遺骨収集の様子。厚労省「戦没者慰霊事業の概要」より)

手詰まりの遺骨収集

   埋葬地の実態が知られていないということもあろうが、不思議なのは、シベリア抑留というと、政治家もメディアも、ほとんど遺骨収集の問題しか取り上げようとしないことだ。

   確かに、墓じまいを考える人が増えているとはいえ、「たとえ骨だって、会いたい。何十年たっても......」と、遺骨がかえってくるのを待ち続ける遺族がいる。

   国の遺骨収集団に参加し、「出てきた骨はみんなお父さんの骨だと考えるんです」と、スコップをふるう遺族がいる。

   シベリア抑留からの帰国者たちは、残してきた戦友をなんとしても日本に連れ戻したい、と口をそろえる。

   そして、「一日でも早く、一柱でも多く」という日本遺族会の訴えに、異議を唱える遺族はいない。

   こうした声をうけて、2016年には議員立法で「戦没者遺骨収集推進法」が成立した。2024年度までの9年間を「集中実施期間」と定め、「国の責務」として遺骨収集を強化するというのである。

厚労省の資料に掲載されている、ロシアでの遺骨収集の様子。その成果が強調されるが...(「援護行政の概要」より)
厚労省の資料に掲載されている、ロシアでの遺骨収集の様子。その成果が強調されるが...(「援護行政の概要」より)

   法律のタイトルを見て、遺骨収集が飛躍的に進むのでは、と期待した遺族もいたかもしれない。しかし、遺骨収集の実態はというと、「手詰まり」としか言いようがないのが現状だ。

   遺骨収集全体の状況をみると、約240万人の海外戦没者のうち、半数の約112万人もがいまだに未収容のままだ。中国や北朝鮮には、それぞれ20万体以上、2万体以上の遺体が残されていると推定されるが、いまだに調査さえできない。米軍などに撃沈された軍艦や輸送船の「海没遺骨」も約30万体にのぼる。

   シベリア抑留犠牲者も例外ではない。推進法の「集中実施期間」がスタートした2016年から3年間の遺骨収容数は、年に平均196体。自衛隊やロシア軍を投入するというなら話は別だが、この収容ペースでは、集中期間が終わる2024年でも、収容遺骨は抑留中死亡者約5万5千人の半数にも満たないと予想される。すべての遺体を収容するには、なんと150年以上かかる勘定だ。

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