2024年 4月 25日 (木)

マイク・タイソン「待望論」の裏側 WBC会長、現役ヘビー級王者ら前向きの理由は

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   ボクシングの元世界ヘビー級統一王者マイク・タイソン(53)がリングに復帰する可能性が高まっている。

   チャリティーを目的としたエキシビションマッチでの復帰が濃厚で、かつてのライバル、イベンダー・ホリフィールド(57)との対戦に前向きな姿勢を見せている。その一方で、素手で殴り合うボクシングの新興団体「ベア・ナックル・ファイティング・チャンピオンシップ」(BKFC)からオファーが届くなど、タイソンの動向に世界中の格闘技関係者が注目している。

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「深刻な負傷をしたらどうするんだ。それこそ悲劇だ」

   ヘビー級史上最強ともいわれるボクシング界のレジェンドの周辺が騒がしくなってきた。5月上旬にタイソンが自身のインスタグラムにミット打ちの動画をアップすると、世界中のボクシングファンが反応。現役さながらのド迫力ミット打ちの動画の再生回数は2020年5月27日までに1350万回を突破し、10日後にアップされたミット打ち第2弾も1000万回を超える数字を記録している。

   タイソンが練習風景をなぜSNSにアップしたのか正確なところは不明だが、ボクシング関係者の動きは迅速だった。タイソンのリング復帰の「匂い」を嗅ぎつけた豪州のプロモーターが即座にタイソンの代理人に試合のオファー。これに続いてBKFCが約21億円の巨額オファーでタイソン獲得に乗り出し、同じくリング復帰を決めたホリフィールドがタイソンとの3度目の対戦へ動き出している。

   米スポーツ専門メディアはこぞってタイソンの健在ぶりを報じ、これに気をよくしたのか、タイソンはミット打ち第2弾の動画内で「アイム・バック(俺は戻ってきた)」とリング復帰をほのめかした。ホリフィールドの他に対戦相手として、元オールブラックスのラガーマンであるソニー・ビル・ウィリアムズ(34)、元WBO世界ヘビー級王者シャノン・ブリッグス(48)、総合格闘技「PRIDE」のリングで活躍したヴァンダレイ・シウバ(43)らの名が挙がっている。

   タイソンのリング復帰を巡り、ボクシング界から賛否の声が上がっている。否定的な立場を取るのが、英国の大物プロモーターであるエディー・ハーン氏だ。ハーン氏はタイソンをリングに復帰させるのは「無責任」としている。また、米専門メディア「ボクシングシーン」によると、元世界2階級王者リッキー・ハットン氏(41)は「困難な時期を乗り越えたのに、深刻な負傷をしたらどうするんだ。それこそ悲劇だ」と警鐘を鳴らしている。

WBC会長「(タイソンは)WBCにとってのアイコン」

   一方で元世界ヘビー級王者、ラリー・ホームズ氏(70)とジョージ・フォアマン氏(71)はタイソンのリング復帰を支持している。1988年にタイソンと拳を交えた経験を持つホームズ氏は米国のメディアプロダクションTrcksuitsのインタビューで、タイソンVSホリフィールド戦に触れ「彼らがやりたいのであれば好きにやればいいと言うだろう」と言及。フォアマン氏もタイソンの現在の実力を疑っていない。

   現役の世界ヘビー級王者タイソン・フューリー(31)=英国=もタイソンのリング復帰を支持するひとり。フューリーは英国メディア「iFL TV」の取材に対して「彼ら(タイソン、ホリフィールド)がメディカルテストと脳検査をクリアし、健康的にボクシングが出来るのならばやればいいと思う。ぜひ見たいと思っている」と話し、タイソンを全面的にサポートすると語っている。

   現時点でタイソンは本格的なリング復帰について明言を避けている。本格復帰となれば、健康的観点からライセンスの発給問題が立ちはだかり、そう簡単に事は運ばないだろう。ただ、WBCのマウリシオ・スライマン会長は、タイソンが本格的に復帰した際のサポートを約束。「ボクシングシーン」によると、スライマン会長はタイソンを「WBCにとってのアイコンだ」とし、タイソンが望むのならばランクを与える用意があると発言している。

   現在のヘビー級は、WBAのレギュラー、暫定王座を除き、主要4団体の王座を英国勢が独占している。ボクシングの歴史において長きにわたり米国がヘビー級王国として君臨していたが、2000年代に入ると流れは米国から欧州へと傾き始めた。クリチコ兄弟の台頭などもあり、米国人ヘビー級王者が減少したことで米国内でのヘビー級人気は下降線をたどった。

リングマガジンのPFPランクにヘビー級王者なし

   米国の歴史ある専門誌「リングマガジン」が格付けするパウンド・フォー・パウンド(PFP)の最新版では、トップ10にヘビー級王者の名はない。ミドル級、スーパーミドル級を主戦場とするサウル・アルバレス(メキシコ)がPFPのトップで、2位にWBA、WBC、WBO世界ライト級王者ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)がつけ、日本が誇る「モンスター」井上尚弥(27)=大橋=は3位にランクしている。

   近年はアルバレス、フロイド・メイウェザーJr(米国)、マニー・パッキャオ(フィリピン)ら中重量級の選手が人気を博し、ペイ・パー・ビュー(PPV)の売り上げでヘビー級のタイトル戦を上回る試合も多い。タイソンが本格的に復帰すれば業界に大きなインパクトを与え、米国内のヘビー級人気再燃の起爆剤になるかもしれない。

   レジェンドの復帰はオールドファンの心を大いに刺激し、プロモーターは一山当てようと動く。WBCのスライマン会長さえレジェンドの復帰を望んでいるようにみえる。タイソンがどこまで本気かは分からないが、「タイソンフィーバー」はしばらく続きそうだ。

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