2024年 4月 18日 (木)

横田滋さん死去で安倍首相「断腸の思い」 日本政府が打てる手は...

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   北朝鮮に拉致された横田めぐみさん(当時13)の父、横田滋さん(87)の死去を受け、安倍晋三首相は2020年6月8日、めぐみさんの帰国が実現できていないことについて「断腸の思い。本当に申し訳ない思いでいっぱい」などと沈痛な表情で語った。

   安倍氏は19年5月から、金正恩・朝鮮労働党委員長との首脳会談を「条件を付けずに」行いたい意向を示しているが、事態の進展は全く見えないままだ。日本政府が打てる手はあるのか。

  • 安倍晋三首相。横田滋さんの死去を受け、「断腸の思い。本当に申し訳ない思いでいっぱい」などと語った(写真は首相官邸ウェブサイトから)
    安倍晋三首相。横田滋さんの死去を受け、「断腸の思い。本当に申し訳ない思いでいっぱい」などと語った(写真は首相官邸ウェブサイトから)
  • 安倍晋三首相。横田滋さんの死去を受け、「断腸の思い。本当に申し訳ない思いでいっぱい」などと語った(写真は首相官邸ウェブサイトから)

「様々な動きを見逃すことなく、チャンスを捕らえて果断に行動」とは言うものの

   安倍氏が横田氏の死去を受けて語った今後の方針は、

「政府として、日本国として、様々な動きを見逃すことなく、チャンスを捕らえて果断に行動して、実現していきたい」

といった曖昧なものだった。

   拉致問題で具体的な進展があったかに見えたのは、もう6年も前のことだ。14年5月に結ばれた「ストックホルム合意」で、北朝鮮側は拉致被害者や行方不明者を含む「すべての日本人」の再調査を行い、日本側は独自制裁の一部を解除することで合意。調査の進展に注目が集まったが、北朝鮮が核実験と弾道ミサイルの発射を行ったため、日本政府が16年2月に再び独自制裁を決定。その2日後、北朝鮮は調査を中止し、合意に基づく「特別調査委員会」を解体すると発表していた。安倍氏は20年1月29日の参院予算委員会で、「ストックホルム合意以降、北朝鮮の特別調査委員会による調査について、北朝鮮から調査結果の通報はなされていない。また、報告書も受け取っていないということだ」

と説明している。

   だが、政府は拉致被害者の「生存情報」について、あいまいな態度をとり続けている。共同通信は18年3月、政府が北朝鮮からの拉致被害者として認定している神戸市の元ラーメン店員、田中実さん=失踪当時(28)=と、政府が「拉致の可能性が否定できない」としている金田龍光さん=同(26)=の2人について、14年に日本政府に対して「生存情報」を非公式に伝えていたと報道。2人は同じ児童養護施設で育ち、同じラーメン屋で勤務していた。

   この2人について共同は19年12月、ストックホルム合意の前後に北朝鮮から「生存情報」を伝えられ、その際に「政府高官が『(2人の情報だけでは内容が少なく)国民の理解を得るのは難しい』として非公表にすると決めていた」「安倍晋三首相も了承していた」と、「複数の日本政府関係者」の話として報じていた。

「2人生存報道」には「お答え控えたい」

   この報道について、前出の参院予算委員会では、国民民主党の森裕子参院議員が

「一人でも二人でも、情報がもたらされたら、交渉し、調査をし、そして一時帰国をしていただく、そういうお考えはないのか」
「これは事実無根、全くの誤報なのか」

などと質したのに対して、茂木敏充外相は

「拉致被害者として認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国のため引き続き全力を尽くしていきたい」
「様々な情報、そして様々な報道があるが、その一つ一つについてお答えすることは控えたい。その上で、情報収集等については全力で当たりたい」

などと事実関係の確認を避けた。

   日本政府は、ストックホルム合意は引き続き有効だとの立場だ。安倍氏は、この参院予算委で

「北朝鮮に対してストックホルム合意の履行を求めつつ、一日も早い全ての拉致被害者の帰国を実現すべくあらゆる努力を傾注していく考え」

などと答弁。北朝鮮側から「調査結果」を引き出すことが喫緊の課題だと言えそうだ。ただ、北朝鮮側に合意を履行させるためには、北朝鮮側が独自制裁の解除を要求してくるとみられる。さらに、仮に「調査結果」が出たとしても、北朝鮮が初めて拉致を認めた02年の日朝首脳会談のように、拉致被害者に死亡者がいると通告してくる可能性もある。その場合は、その「調査結果」の検証を含めて難しい対応が続くことになる。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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