2024年 4月 20日 (土)

犬が新型コロナで陽性、飼い主はペットをどう守る? 「論外な行為」とは

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   日本国内で初めてペットの犬が新型コロナウイルス(COVID-19)に感染した疑いがある事例が明らかになった。飼い猫についても海外では感染事例が報告されている。今や「家族の一員」である、犬や猫。大切なペットをコロナから守るにはどうすればいいのか。

   犬の感染例は2020年8月3日、ペット保険会社の「アニコムホールディングス」が公表した。コロナに感染した飼い主から無償でペットを預かった犬2匹にPCR検査を行ったところ、2匹とも「陽性」だったという。アニコム社によると、いずれも症状は出ておらず、このうち1匹はすでに陰性になったという。

  • 愛するペットを新型コロナウイルスから守るにはどうすればいい?(写真はイメージ)
    愛するペットを新型コロナウイルスから守るにはどうすればいい?(写真はイメージ)
  • 新型コロナウイルスが猫から猫に感染するかを調べた実験のイメージ(東京大学医科学研究所の資料から)
    新型コロナウイルスが猫から猫に感染するかを調べた実験のイメージ(東京大学医科学研究所の資料から)
  • 愛するペットを新型コロナウイルスから守るにはどうすればいい?(写真はイメージ)
  • 新型コロナウイルスが猫から猫に感染するかを調べた実験のイメージ(東京大学医科学研究所の資料から)

ペットのコロナ陽性は国内初 海外では複数の報告例

   アニコム社では、2匹を隔離した状態で世話を続けており、他の預かっているペットや飼育を担当する従業員にもPCR検査をしたところ、いずれも陰性で、体調不良もみられないという。

   環境省によると、国内でペットが陽性になったと報告されるのは初めてだ。海外では、これまでにアメリカ、イギリス、オランダと香港で報告例がある。

   このうち、飼い猫1匹が検査で陽性と判定されたイギリスの事例でも、先に検査で陽性だった飼い主から猫に感染したとみられる。猫の症状は軽く、数日で回復したという。

   CNN(日本語版、7月28日)の報道では、英ケンブリッジ大学の専門家の見解を紹介する形で、これまでに感染が確認されたペットは世界でわずか数匹にとどまり、「飼い主から猫に新型コロナウイルスが感染する可能性はあったとしても、猫から飼い主への感染をうかがわせる痕跡はない」としている。

猫がコロナに感染すると鼻水や下痢の症状も

   犬や猫が新型コロナウイルスに感染すると、どんな症状が出るのか。

   厚生労働省によると、犬については明確な症状は確認されていない。アニコム社も「お預かりした犬は発症しておらず、また当社が知りうる限りは十分なデータがないため、症状が出るかもわからない」(経営企画部の担当者)という。諸外国での研究事例などを見る範囲では、現時点では犬はコロナウイルスに感染しにくく、感染したとしても強い症状は出ないようだ。

   猫についてはどうか。日本獣医師会の境政人専務理事に話を聞いた。

「犬よりも猫の方が新型コロナウイルスの感受性が高い傾向にあります。個体によって症状は異なるのですが、くしゃみや鼻水が出るといった『呼吸器症状』、そして下痢などの『消化器症状』が出るといった報告があります」

   境専務理事によると、中国で発表された論文(未査読)の中には、実験で感染させた猫が「重度の下痢で重篤な症状になった」という例もあったという。

   ペットから人間に感染する恐れはないのか。日本獣医師会によれば、諸外国を含めて、これまでペットから人間への感染例は報告されていない。米疾病対策センターもウェブサイトで、現時点での情報は限られているとした上で、「動物からヒトにウイルスが広がるリスクは低いとみられる」としている。

   一方、オランダのミンクの農場で、新型コロナウイルスに感染したミンクから人間に感染した可能性がある事例があるという。

「ペットに口移しで食べ物与えたり、キスしたりは論外」

   大切なペットに人間からウイルスをうつさないようにするには、何に気を付けなければいけないのか。

   東京大学医科学研究所の河岡義裕教授が5月に発表した論文によると、猫同士の「接触感染」によって新型コロナウイルスの感染が広がることが明らかになった。猫は放し飼いにするケースがあるが、他の放し飼いの猫や野良猫からうつる可能性がある。論文では、「猫を外に放さず、室内で適切に飼育することが必要だ」としている。

新型コロナウイルスが猫から猫に感染するかを調べた実験のイメージ(東京大学医科学研究所の資料から)
新型コロナウイルスが猫から猫に感染するかを調べた実験のイメージ(東京大学医科学研究所の資料から)

   さらに、先述の日本獣医師会の境専務理事は注意を呼びかける。

「まずは飼い主自身が感染しないことが、ペットを守る最大の『防御』となります。そして犬でも猫でもペットと触れ合う時は手洗いをきちんとしてからにしましょう。犬は散歩の時、できれば他の犬と接触させない方がいいです。室内飼いの猫も、人からうつす可能性があるので、口移しで食べ物を与えたり、キスをしたりするのは論外です。万が一、感染が疑われる時は、速やかにかかりつけの獣医師に相談して必要な対応をしてください」
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