2024年 4月 19日 (金)

「日航ジャンボ機事故」直後の「人事」暗闘 消えた「社長候補」...中曽根文書から読み解く

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ANA「中興の祖」若狭得治氏を「社長無理なら会長にしては」

   放言に近い発言もある。「10/4 藤尾 完オフ」のメモだ。花村仁八郎会長を更迭し、全日空(ANA)の「中興の祖」として知られる若狭得治会長を起用する案だ。

「花村会長は今まで会長室とか社長室というとこに入ったことがない。仕事がなかった人だから、今はうれしくてしょうがない。(花村は)オレだけは別だと思っているようだが、花村も同じだと、オレは思うね。高木には誰も同情する人間いない。あらゆる条件か(ら)みて残る可能性はゼロだ。
今の航空業界の全てを知り尽くしているのは、若狭だけだよ。ああいう立場だから誰も言わないが、みなそう思っている。でなければ(編注:ロッキード事件の)裁判をかかえながらやっていけるはずがない。社長は無理というのなら会長にしてはどうかね」

   だが、10月になっても「町田説」はくすぶる。10月4日の「上和田」のメモだ。中曽根氏に長く仕え、大物秘書と呼ばれた上和田義彦氏の発言を記録したとみられる。

   記者の「でも町田さんがここのところ復活してきましたね」という質問に対して、否定的な見方を示している。

「トカゲのシッポじゃないが、あの大事故の責任を高木一人がとればそれでことたれり、というのじゃいけない。そうだろ、日航がみんなで責任を感じなければいけないんだ。ネジをしめる人も荷物を運ぶ人も。そういうことが、みんなが求めていることじゃないか」

   一方で「では町田はだめ」という念押しには、「そういうことではない」と、けむに巻いた。

「そういうことではない。ああいうことは進化論みたいに順を追ってやらにゃあ、日航がおかしくなるんだ。町田を推しているのは運輸省と運輸族の議員たちだろう。わからないようにコッソリ情報交換している。そんな段階だよ。まだわからんね。最後はソーリが『これだ』といって決まりだよ」

   新体制の陣容が内定し、明らかになったのは10月27日のことだ。まとめると、高木社長の後任に常勤顧問の山地氏。副会長のポストを新たに設置し、鐘紡の伊藤淳二会長を起用する。「社長昇格説」が消えた町田副社長も退任し、後任に利光松男日航商事社長をあてる。花村会長は留任した。伊藤氏と利光氏の名前は、ここまで確認できた一連のメモには登場してこなかった。水面下での打診が進んでいたことがうかがえる。

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