日産自動車が木村拓哉さんを起用した新作のテレビCM「やっちゃえNISSAN幕開け編」がファンの間で人気を呼んでいる。歴代の名車も登場「平坦な道なんかなかった。何度もつまづき、転びかけた」CMは木村さんのそんな語りで始まる。映像にはハコスカの愛称で親しまれる1969年発売の初代「スカイライン2000GT-R」が登場。続いて1980年にデビューした初代「サファリ」が文字通りオフロードでバウンドし、転倒しかけるようなシーンが流れる。木村さんは「それでも逃げなかったろう。諦めなかったろう。そして誰よりもクルマを愛してきただろう」と語りかける。さらに登場するのは、1971年発売の初代「フェアレディ240Z」と1989年発売のR32型「スカイラインGT-R」だ。いずれも日産を代表するスポーツカーで、モータースポーツで大活躍した。最後に木村さんは「上等じゃねえか、逆境なんて。待ってても来ない夜明けなら、こっちから迎えに行こうぜ。さあ、いくぞもう一度。やっちゃえ日産!」と締めくくる。ここで木村さんは、日産が2021年に発売する渾身の新型電気自動車(EV)「アリア」に乗り込み、画面には「やっちゃえNISSAN」の文字が浮かび上がる。このCMは8月22日からテレビでオンエアしているほか、24日からは東京都内の屋外広告にも登場している。「日産の挑戦の歴史とクルマへの情熱を力強く描いている」日産は「木村さんが往年の名車を乗り継ぎ、最後に新しい日産の象徴であるアリアに乗り込む中で、日産の挑戦の歴史とクルマへの情熱を力強く描いている」と説明している。日産はこのCMに合わせ、木村さんを「日産ブランドアンバサダー」に起用。前任の矢沢永吉さんに続き、「やっちゃえ日産」と語り掛ける。「平坦な道なんかなかった。何度もつまづき、転びかけた」「上等じゃねえか、逆境なんて」というフレーズは、カルロス・ゴーン前会長の逮捕・起訴や、これまで幾度となく繰り返してきた経営不振を指しているのは言うまでもない。日産が自ら現状を「逆境」と認めているのも、日本企業のCMとしては前例がないだろう。CMに流れる2台のスカイラインGT-RとフェアレディZは「技術の日産」を象徴し、現在も多くのファンを抱える名車であることは間違いない。それに比べると、初代サファリはクロスカントリー4WDの地味な存在で、80年代の「西部警察」に特殊車両として登場したが、さしたる名声も人気もない。敢えて起用したのは、日産の中ではアリアに続くSUVの原点というべき存在だからだろう。ところで木村さんが日産のCMに登場するのに違和感をもつ人もいるのではないか。木村さんはかつてトヨタのCMに長く登場し、とりわけカローラのイメージキャラクターの印象が強い。日産は「木村さんはその圧倒的な存在感と説得力で日産の思いを代弁するとともに、新しい日産の世界観を表現してもらう」としている。このCMで「トヨタのキムタク」から「日産のキムタク」に代わるのだろうか。
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