2024年 4月 25日 (木)

航空ファンの聖地・下地島空港が「宇宙飛行の拠点」に 2025~26年の就航目指す

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   宇宙旅行の提供を目指すベンチャー企業「PDエアロスペース」(名古屋市)が、沖縄県の下地島空港(宮古島市)を拠点に機体の開発や「宇宙港」の整備に乗り出すことになった。

   沖縄県が2017年に公募していた「下地島空港及び周辺用地の利活用事業提案」にPD社が応募して採択が決定。20年9月10日に両者が基本合意を結んだ。かつては航空ファンの間で「聖地」として知られた下地島空港が、順調にいけば25~26年には「宇宙行き」フライトの拠点になる予定だ。

  • 3000メートルの滑走路を持つ下地島空港(宮古島市)が「宇宙港」として整備されることになった。左からスペースポート・ジャパン代表理事の山崎直子氏、PDエアロスペースの緒川修治社長、HISの澤田秀雄会長兼社長
    3000メートルの滑走路を持つ下地島空港(宮古島市)が「宇宙港」として整備されることになった。左からスペースポート・ジャパン代表理事の山崎直子氏、PDエアロスペースの緒川修治社長、HISの澤田秀雄会長兼社長
  • 下地島空港には宇宙機用のハンガー(格納庫)が整備される予定だ(写真提供:PDエアロスペース)
    下地島空港には宇宙機用のハンガー(格納庫)が整備される予定だ(写真提供:PDエアロスペース)
  • 営業運航開始は2025~26年、1人あたりの価格は1400~1700万円を想定している(写真提供:PDエアロスペース)
    営業運航開始は2025~26年、1人あたりの価格は1400~1700万円を想定している(写真提供:PDエアロスペース)
  • 3000メートルの滑走路を持つ下地島空港(宮古島市)が「宇宙港」として整備されることになった。左からスペースポート・ジャパン代表理事の山崎直子氏、PDエアロスペースの緒川修治社長、HISの澤田秀雄会長兼社長
  • 下地島空港には宇宙機用のハンガー(格納庫)が整備される予定だ(写真提供:PDエアロスペース)
  • 営業運航開始は2025~26年、1人あたりの価格は1400~1700万円を想定している(写真提供:PDエアロスペース)

かつてはジャンボジェットが離着陸繰り返す「絶景スポット」

   下地島空港は、かつては日本航空(JAL)や全日空(ANA)がパイロットの訓練に使用。ボーイング747型機をはじめとする大型機がコバルトブルーの海を背景に、全長3キロの滑走路から離着陸を繰り返す光景が「絶景スポット」として知られてきた。JALとANAが下地島での訓練を取りやめ、定期便が飛ばずに中型機や小型機が訓練するのみになっていたため、県が空港の使い道を探していた。それに応える形で三菱地所が旅客ターミナルの整備を進め、18年からジェットスター・ジャパンをはじめとする国内外のLCCが乗り入れている。

   PD社が目指しているのは、翼のついた「宇宙飛行機(スペースプレーン)」を利用した、「準軌道(サブオービタル)」と呼ばれる形式の宇宙飛行。ジェットエンジンを使って離陸し、高度15キロでロケットエンジンを点火。高度110キロまで上昇して高度を下げ、高度30キロで大気圏に再突入。その後は再びジェットエンジンを使って飛行し、空港に戻る。1フライトの所要時間は約90分で、そのうち5分間にわたって無重力状態になる。

1人あたりの価格は1400~1700万円を想定

   今回の計画では、PD社中心に「下地島宇宙港事業推進コンソーシアム(仮)」を設立し、宇宙飛行機の飛行試験を予定。それ以外にも(1)宇宙機用ハンガー(格納庫)を利用したテナント事業(2)宇宙旅行に対応する訓練事業(3)観光事業を展開する。

   PD社は旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)、ANAホールディングス(HD)から出資を受けて機体の開発を進めており、現時点では無人実験機の6号機まで試験飛行が行われている。20年12月に機体を下地島に移動し、21年8月には下地島で格納庫の運用を始める。6号機と並行する形で、高度100キロまで飛べる無人の7号機の開発を進める。25年頃には有人飛行ができる8号機の飛行を目指す。

   PD社の緒川修治社長の9月11日の記者会見での説明によると、先行する英ヴァージングループなどの国外企業と比べて「(就航は)遅れること5年以内、市場価格の7割ぐらい」を目指す。具体的には、コロナ禍の影響を踏まえると、営業運航開始は25~26年、1人あたりの価格は1400~1700万円を想定。運航開始から1年間は100人以内、5年以内に年間1000人が体験できるようにする。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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