2024年 4月 23日 (火)

岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
極右と呼ばれる「プラウド・ボーイズ」と行動を共にした夜

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「ケンカしたくて、やってんだよ」

    ヘルメット姿の黒づくめの女性が、トランプ支持者の手から星条旗を奪い取った。それを取り返そうとする相手に、女性はナイフで襲いかかろうとした。別のトランプ支持の男性が自分のヘルメットで、彼女の被っていたヘルメットを叩いた衝撃で女性が倒れ、そのすきにナイフを取り上げた。

    スケートボードで突撃してきた反トランプ派の青年とプラウド・ボーイがもみ合いになり、その男性はスケートボードを残して、逃げていった。「そんなもん、割ってやれ!」と誰かが声をかけると、プラウド・ボーイは真っ二つに叩き割り、半分を背中のリュックに突き刺した。

    方向を変えて行進しては、アンティファと対決し、そこへ警察隊が駆けつける、というパターンが何度も続いた。プラウド・ボーイズたちの方が体格がよくて屈強なので、力では負けていない。

「やつらは俺たちに恐れをなした。もう大丈夫だ」 

    プラウド・ボーイズたちは、「Back the blue!(警察を支持しろ!)」と叫び声を上げ、緊迫した状況で警備に当たる警官に感謝の思いを伝え、拍手を送り、「僕たちが協力しますから」などと話しかけていた。

   「This is fun.(楽しいな)」とつぶやく声が聞こえる。

    警官の黒人男性に私が、「なんだか子供のケンカみたいね」とつぶやくと、警官が言った。

「まったくそうだよ。ケンカしたくて、やってんだよ」

   ふだんは男同士でつるんで大声で楽しくビールを飲み、「悪の敵」が襲ってきたら、自分たち男の手で女性や高齢者を守り、社会の秩序を保つ、ということだろう。

    彼らは武器は持たないと言われるが、話を聞いてみるとそうとは限らないようだ。

    複数のプラウド・ボーイズが、「僕らも、法に触れない範囲で、身を守るために武器を持つことはある」と私に話した。

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