2021年 3月 1日 (月)

「あえて国にモノ申した」自工会会長 「脱ガソリン車」めぐる攻防の背景

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   経済産業省が2030年代半ばに国内でガソリン車の新車販売をゼロにする目標設定に向けて動き出した。これに対し、日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は報道機関とのオンライン懇談会で「自動車業界のビジネスモデルが崩壊する」と反論し、経産省と自動車業界が対立する異例の構図になっている。

   経産省が「脱ガソリン」政策に舵を切るのは、ESG(環境、社会性、ガバナンス)投資の拡大など、世界の潮流に乗り遅れないためだ。海外では、中国が2035年をメドに新車販売を電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)などの電動車のみとする目標を掲げているほか、英国はガソリン車とディーゼル車の販売を2030年までに禁止する方向だ。既に海外で同様の目標が設定される中、日本も遅かれ早かれガソリン車の販売規制に踏み込まざるを得ない状況にあった。

  • ガソリン車の新車販売をめぐり大きな動きが(写真はイメージ)。
    ガソリン車の新車販売をめぐり大きな動きが(写真はイメージ)。
  • ガソリン車の新車販売をめぐり大きな動きが(写真はイメージ)。

HV車とEV車へのシフト

   一方で、経産省の計画では規制対象はあくまでガソリン車(ガソリンだけで走る車)であり、ガソリンエンジンと電気モーターの両方を動力源とするHVは含まない。政府としては、これを機に日本メーカーのEVシフトを進めたい意向があったが、とはいえ、日本の自動車メーカーといえばHV、特に、その代表格はトヨタの「プリウス」であり、トヨタに一定の配慮をしたと指摘される。

   実際、トヨタをはじめ日本メーカーの多くはHVに重きを置いてきた。HVの普及率(2017年時点)は日本が3割超に達し、米国4%、ドイツ3%、フランス4.8%などと比べて圧倒的に高い。その分、EVシフトは遅れている。業界内では「当面はHVを推進し、少しずつガソリン車を減らしていくしかない」との声があがる。

   ただ、脱ガソリン車の目標実現は容易ではない。経産省が2018年に有識者会議でまとめた次世代車の30年の普及目標は、ガソリン車30~50%とする一方、HV車30~40%、電気自動車とプラグインHV車20~30%、水死で走る燃料電池車(FCV)3%程度、クリーンディーゼル車5~10%となっている。ガソリン車をゼロにするには、それ以外の次世代車を一気に倍増させる必要がある。

自動車産業の構造が大きく変わる転換点に?

   特に難しいのは軽自動車だ。軽乗用車を得意とするスズキ、スバル、マツダなどは特に電動車比率が低く、より打撃を被ることになる。軽自動車は価格が手頃であるほか、燃費や小回りの良さが支持され国内で広く浸透している。軽自動車に本格的なHV技術を搭載するには、大容量の電池が必要になる。車両価格は上がり、室内空間も圧迫され、燃費も悪化するなど、軽自動車の利点が損なわれてしまう。

   豊田社長は自工会会長の立場で2020年12月17日、業界としての見解を示し、すべての自動車がEVになった場合、発電能力を10~15%増強する必要があるなどと述べた。その具体的中身は別にして、あえて国にモノ申した背景には、軽自動車メーカーに配慮した側面もありそうだ。

   いずれにせよ、規制が導入されれば、メーカーは電動車シフトを加速させる必要があり、開発を巡り協業や再編につながることが予想される。日本の自動車業界は、米国の排ガス規制の昔から、規制に対応して技術革新を進め、世界で存在感を示してきた。「脱ガソリン車」は、自動車産業の構造が大きく変わる転換点になるかもしれない。

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