2024年 4月 26日 (金)

同性の生理「完全に理解できることはないと思う」 性教育YouTuberシオリーヌ×内田さやか産業医が語る

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生理休暇は「使い勝手が良いとは言えません。」

   労働基準法第68条では「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」と定められている。

   しかし厚生労働省が行った「平成27年度雇用均等基本調査」によれば、女性労働者がいる事業所のうち2014年度に生理休暇を取得した女性はわずか0.9%。制度としては存在するものの積極的に活用されているとは言い難い状況だ。

――「生理休暇」の浸透を含め、職場における生理への理解はどれくらい進んでいるのでしょうか

内田:生理休暇は法定休暇なので大体の企業にあります。ただ、使い勝手が良いとは言えません。取得時には「生理なので」と申告する必要がある上、一般的には無給です。業務に支障があるくらい辛くても、有給休暇を使わなくてはいけないので取得するか悩む人もいます。また、生理休暇は生理痛や貧血対策のために作られているので、PMSには使えません。

   内田さんは、生理休暇を実際に取得し、使ってみてどうだったかを追いかけられていない企業が多いと指摘する。ただ、企業によっては生理休暇を有休にする、名前を「フィメール休暇」に変える、不妊治療など幅広く使えるものに設定するなど、独自の施策をとっているそうだ。

シオリーヌさん
シオリーヌさん
シオリーヌ:本当に「ピンキリ」としか言いようがない状況かなと思います。性教育への意識の高まりをキャッチできるような企業であれば、新しい制度を取り入れたり、生理を理解しようという取り組みをしたり、発展しよう・従業員を大事にしようという動きをしています。しかし、その中でも旧態依然とした大企業は日本にたくさんあります。

   シオリーヌさんは衛生用品メーカーのユニ・チャームが生理用品ブランド「ソフィ」で推進するプロジェクト「#NoBagForMe」のメンバー。同プロジェクトの2020年の目標は、「生理にまつわる知識向上と相互理解を促進する」となっていた。

   その活動の一環で、ユニ・チャームは7月29日に「みんなの生理研修」、30日に「生理にまつわる意見交換ワークショップ」をソフトウェア開発のサイボウズで開催。シオリーヌさんは「みんなの生理研修」の講師として登壇した。研修はZoomを使って開催、男性21人、女性55人が参加した。

シオリーヌ:生理がどんな困難をもたらす可能性があって、どれだけの経済損失を生んでいるのか、女性がパフォーマンス良く働ける環境が企業にどんなメリットをもたらすのか、といったことを説明しました。そんなことができるような社会になってきているし、もっと広まっていくといいなと思いますね。

――近年では、SNSやメディアを通じて、生理に対する知見が広まりつつある印象です

シオリーヌ:性や生理のことを扱うこと自体がタブー扱いされてきたところから、正しい知識や上手な付き合い方を、公の場で自然に学べるようになってきました。すごくいい変化だと思います。情報を得て、自分でケアをすることが当たり前になってくれたらと思います。
内田:個人がSNSを使って、匿名で情報発信できる時代になったのが大きいと思います。これまでの情報源は、教科書やアンケート結果など、サマリーにされたものでしたが、今なら「生理で会社行くのだるい」といったリアルな声をたくさん見かけます。SNSの普及によって「こう思っている人がいるんだ」「自分も吐露していいんだ」と話題に上がりやすくなっているのではないでしょうか。
シオリーヌ:ただ、視聴者さんの中には「性の話をオープンにしていこうよ」という風潮を、ちょっとプレッシャーに感じている人もいます。健康を維持するのに必要な情報が、タブー扱いされずに伝えられていくのはすごく大切なことです。その一方で、オープンにしたくないという方が無理に性の話を開示されることなく、でも必要な情報はまんべんなく届くというようになればいいなと思います。

――生理に悩む人が働きやすい環境を作っていくには、何が必要でしょうか

シオリーヌ:風邪やメンタルの不調など、「無理すれば行けるかもしれないけど、休めるなら休みたい」という時に、みんなが普通に休める環境・働く場所になれば、生理がある人も休みやすくなるかと思います。
内田:シオリーヌさんの言う「生理で休める企業はきっと働きやすい」というのは間違いなくて、どれも明日は我が身だと思います。生理でこれまでなかった症状が出てくることもあるし、突然大きな病気になることは男女問わずあります。

   内田さんによれば、男性の病気が年齢を重ねてから発症するケースが多いのに対し、女性は毎月の生理、さらに乳がんや子宮頸がんといった病気が若年層で出ることもあると指摘。逆に女性が子育てしながら働ける会社であれば、何があっても受け止めきれる――つまり、誰にとっても働きやすい会社だとしている。

内田:悩んでいる場合は婦人科に行くのがおすすめです。生理周りは生活習慣が影響しているので、規則正しい食事、十分な睡眠、軽い運動なども大事です。そういった生活習慣を自分でも気を付ける「セルフケア」も重要かと思います。
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