2024年 4月 26日 (金)

「東京近郊の遊園地」の逆襲 リニューアル計画が相次ぐ理由

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   東京近郊の遊園地をテコ入れする動きが相次いでいる。いずれも施設の老朽化や陳腐化が進んでいたためではあるが、親会社の経営戦略も見え隠れする。新型コロナウイルスの影響の長期化が避けられそうになく、遠出を避けて近場で楽しむ動きが社会に定着してきたことも影響している。

   東京都稲城市にある「よみうりランド」は、隣接地にプロ野球巨人の2軍球場や商業施設が建設され、一体的に運営されることになる。球場を建設する計画は読売新聞グループ本社が進めていたが、遊園地を運営する株式会社よみうりランドを株式公開買い付け(TOB)によって完全子会社化し、グループの飲食や物販に関する事業を同社に集約。市場の縮小が避けられない新聞業界にあり、読売新聞グループ本社は「よみうりランドを、スポーツ、文化、エンターテインメントの中核企業」(山口寿一社長)に据える考えだ。

  • 「西武園ゆうえんち」大観覧車(2020年撮影)
    「西武園ゆうえんち」大観覧車(2020年撮影)
  • 「西武園ゆうえんち」大観覧車(2020年撮影)

よみうりランド、西武園ゆうえんち...

   株式会社よみうりランドはTOB前には東証1部に上場しており、読売新聞グループ本社は子会社などの保有分も含め、よみうりランド株の約34%を保有する筆頭株主の立場だった。2020年12月21日まで実施されたTOBは成立し、手続きを経て完全子会社となる。

   遊園地のリニューアルでは西武鉄道が先行している。2020年に開業70年を迎えた「西武園ゆうえんち」(埼玉県所沢市、20年11月から休園中)では、21年春の完成に向けて改修工事を進めている。1960年代の日本を再現した町並みや、当時を映像で体感できるアトラクションを新たに設けて、昭和の世界観を表現する計画だ。エントランスでは実際に昭和の時代に走った路面電車が来園者を出迎え、足を踏み入れると昭和の雰囲気を醸し出す商店街でライブパフォーマンスが繰り広げられる。100億円を投じるリニューアルには、「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズで知られる映画監督の山崎貴氏やユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の再建を主導した森岡毅氏が携わる。

   西武鉄道グループが運営していたもう一つの遊園地「としまえん」(東京都練馬区)は2020年8月末に営業を終え、敷地の一部に人気映画「ハリー・ポッター」シリーズに関する娯楽施設が23年前半にも開業する。ハリー・ポッターの映画を製作するワーナー・ブラザースと組んでおり、来場者は映画の有名シーンを体験できる。同様の施設は英国ロンドンに次いで世界で2カ所目になるという。

東京ディズニーリゾートめぐる状況の変化

   残りの敷地の大半は東京都に売却され、都が以前から計画している防災公園として生まれ変わる。西武としては23区内にあるまとまった土地の売却益を得ながら、縮小した敷地に集客力が高い施設を呼び込んで新たな収益源としたい考えだ。

   テーマパークとして首都圏では「1強」だった東京ディズニーリゾートは、「3密」回避のために来場者数を絞らざるを得ず、大規模投資を続ける園内に一度に大勢を迎えるビジネスモデルがコロナ禍では通用しなくなっている。後塵を拝してきた東京近郊の遊園地はもともと周辺に人口が多い強みを持っており、それぞれのリニューアルが奏功すれば再び輝きを取り戻すことも夢ではなさそうだ。

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