2021年 9月 29日 (水)

聖地・下地島は「宇宙港」で大化けするか すでに16社参加表明、ベンチャー企業の挑戦

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   かつては航空ファンの間で「聖地」として知られた沖縄県の下地島空港(宮古島市)が、産業振興の拠点としての役割も担うことになりそうだ。宇宙旅行の提供を目指すベンチャー企業「PDエアロスペース」(名古屋市)が2021年6月22日、下地島空港を「宇宙港」として整備するための「下地島宇宙港事業推進コンソーシアム」を立ち上げると発表した。

   沖縄県が17年に公募していた「下地島空港及び周辺用地の利活用事業提案」にPD社が応募して採択が決定。すでに試験飛行に向けた拠点として利用しているが、緒川修治社長いわく「我々は『機体屋さん』で、宇宙港事業は全く門外漢」。主に地元からブレーンの役割を担う会社を募る。

  • PDエアロスペースの「宇宙飛行機」(スペースプレーン)は、下地島空港の「宇宙港」を拠点に離着陸する。2025年の有人飛行を目指す(写真提供:PDエアロスペース)
    PDエアロスペースの「宇宙飛行機」(スペースプレーン)は、下地島空港の「宇宙港」を拠点に離着陸する。2025年の有人飛行を目指す(写真提供:PDエアロスペース)
  • PDエアロスペースの「宇宙飛行機」(スペースプレーン)は、下地島空港の「宇宙港」を拠点に離着陸する。2025年の有人飛行を目指す(写真提供:PDエアロスペース)

22年に宇宙空間飛行、25年に有人飛行目指す

   かつて下地島空港は日本航空(JAL)や全日空(ANA)が大型機で訓練飛行を行う場所として航空ファンの間で人気があったが、両社の撤退後は県が空港の使い道を探していた。それに応える形で三菱地所が旅客ターミナルビルの整備を進め、18年からジェットスター・ジャパンをはじめとする国内外のLCCが乗り入れている。

   PD社が目指しているのは、垂直に打ち上げるロケットを使うのではなく、翼のついた「宇宙飛行機」(スペースプレーン)を利用した、「準軌道」(サブオービタル)と呼ばれる形式の宇宙飛行。ジェットエンジンを使って離陸し、高度15キロでロケットエンジンを点火。高度110キロまで上昇して高度を下げ、高度30キロで大気圏に再突入。その後は再びジェットエンジンを使って飛行し、空港に戻る。

   PD社がすでに下地島に設けている拠点では、早ければ21年7月中に無人実験機の6号機の試験飛行を行う。並行して高度100キロまで飛べる無人の7号機の開発を進め、22年12月に宇宙空間の飛行を実現させたい考え。25年5月頃には有人飛行ができる8号機の飛行を目指す。

県内参加企業には沖縄銀行、琉球銀行、沖縄電力

   下地島をめぐる事業は「宇宙飛行機」の運航にとどまらず、コンソーシアムでは(1)実験機技術実証事業(2)テナント事業(3)訓練事業(4)観光事業、の4つの事業を担う。観光、フードなどのジャンル別にワーキンググループ(WG)を設け、空港を活用した企画や議論を進めてもらう。「1業種1社」の規制は設けない。すでに16社が参加を表明しており、そのうち県内企業は11社。沖縄銀行、琉球銀行、沖縄電力、金秀グループ、りゅうせきといった、県を代表する企業が名を連ねている。

   緒川氏は

「大企業ではなく中小企業も入ってこられるような、『宇宙をビジネスとして使っていきたい人は、どんどん来てください』という形を、沖縄・下地島でスタートさせたい」

と話しており、22年末頃までに100社の参加を目指す。

   地元財界も後押しする。沖縄経済同友会では、新たな沖縄振興計画が22年から始まるのを前に、21年10月に県に提言書を提出。その中には「宇宙旅行の実現に向けた拠点整備」という一節が盛り込まれ、下地島空港の活用について

「新たな産業創出による地域経済の活性化が期待できるとともに、沖縄が、宇宙ビジネスの拠点となる大きな可能性を持つことから、次期振興計画における国と県のバックアップを要望する」

とうたっている。沖縄経済同友会の渕辺美紀代表幹事は、記者会見で、

「国、県、私共経済界も一緒になって、本プロジェクトに対するバックアップ、協力体制を構築していきたい」

などと話した。

   PD社には、旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)やANAホールディングス(HD)が出資していたが、豊田通商や吉本興業ホールディングス(HD)傘下のファンドが新たに出資。それぞれが持つ商社機能や発信力を生かす。さらに、県内を中心に活躍するタレントの崎山一葉(さきやま・かずは)さん(37)をアンバサダーに起用してPRを強化する。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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