【連載】MUTEKIDEADSNAKEのBUCHIAGARU!!music歌手の郷ひろみさん(65)が精力的な活動を見せている。2021年8月1日でデビュー50周年を迎えたことにあわせ、自身の楽曲555曲をサブスク解禁。TikTokに専用エフェクトが登場したり、人気のYouTubeチャンネル「THEFIRSTTAKE」に出演したりと、若者に向けたアプローチにも積極的だ。そんな郷さんの代表曲といえば、「2億4千万の瞳-エキゾチック・ジャパン-」。1984年のリリースから26年。その唯一無二ともいえる楽曲の世界観から、時代を超えて愛されている名曲だ。多くのリスナーがこの曲に惹かれる理由はどこにあるのだろうか。音楽作家のMUTEKIDEADSNAKE氏が解説する。まるでEDM?斬新な曲の構成日本を代表するシンガーの一人である郷ひろみさん。先日デビュー50周年を迎え、最近ではサブスク解禁や「THEFIRSTTAKE」への出演など話題も尽きません。今回は郷ひろみさんの数ある名曲の中から、僕の大好きな「2億4千万の瞳-エキゾチック・ジャパン-」について書いていこうと思います。◆あえて落とすサビメロにBUCHIAGARU!!こちらの楽曲を改めて聴いていて「おっ!」と思うのが、サビのメロディがBメロの最後の音より低いところで始まっているということです。J-POPではサビの頭にインパクトを持ってくるために、サビの最初の音を高く設定し、その音を超えないようにAメロやBメロを構成していくことが非常に多いですし、自分が曲を作る際にも基本的にはそうしています。ですがこの曲の「出逢いは億千万の胸騒ぎ」というサビはとても印象的なのですが、メロディ自体はBメロと比べたら低い音で始まっていますよね。こちらの楽曲のサビはイントロをバックトラックにして、そこに新しいメロディを載せる、という方法で作られています。どうしてサビが低い音で始まっているのにこんなにもインパクトのあるサビになっているのだろう...と自分なりにいろいろ考えてみたのですが、これはある意味現代のEDM的な作り方になっているからかもしれない、と思いました。例えば一世風靡したPSYの「GANGNAMSTYLE」とこちらの楽曲は全く同じ構成になっているとも言えます。イントロでサビのトラックをちらつかせて、Aメロ、Bメロと盛り上げて、サビはメロディこそ下がるものの、ノリノリのトラックと印象的な言葉で曲を成立させています。「2億4千万の瞳-エキゾチック・ジャパン-」も、イントロからはじまりAメロBメロで盛り上げていき、サビでは印象的なイントロのトラックの上に印象的な言葉を載せて、聴く人にインパクトを与えています。比べて聴いてみると、共通点があるような気がしませんか?時代を超えて愛される名曲というものは、いつ聴いても色褪せないなと思いますし、聴くたびに新しい発見があって非常に面白いなと思います!「億千万」実は造語だった?◆独特なワードチョイスにBUCHIAGARU!!この曲、ワードの選び方も本当にすごいですよね!まずタイトルが「2億4千万の瞳-エキゾチック・ジャパン-」ですよ。どういう意味なんだろう...と少し考えてしまいますが、意味とかもうぶっちゃけどうでもよくて、このとんでもないインパクト抜群のタイトルを思いついた瞬間にポップスとしては既に勝っているなと思います。この楽曲を象徴するイントロの「億千万億千万」というリフレイン。この部分、メロディーはシンプルなので、「愛してる」でも「大好きだ」でも何でもはまると思うんですが、まさかのそこに「億千万」ときました。億千万ってなんでしょう?調べてみたところ、ありそうな言葉ですがタイトルから導いた造語のようです(広辞苑第七版にも記載がありません)。ぶっ飛んでいますね!この、「よく意味わからないけど意味わかる気がする」くらいの塩梅の造語ってすごく印象的で大好きです。僕が中学生のころニコニコ動内でバズっていた「おっくせんまん」という楽曲の歌詞もこの曲が元ネタになっており、当時僕は郷ひろみさんの楽曲は知らなかったのですが、「めちゃくちゃ印象に残る言葉だな!」と子供ながらに思っておりました。またタイトルにもサビにも使われている「エキゾチック・ジャパン」という言葉、これも一体何なんでしょうか...?笑メロディと相まって凄まじいインパクトのあるフレーズになっています。言葉自体に意味はなくて語感で導いた言葉だと思うんですが、ふとしたタイミングでついつい口ずさんでしまいますよね!楽曲を聴いていくと、タイトルの意味をちょっと理解できるような感じもするのですが、このテーマから「2億4千万の瞳-エキゾチック・ジャパン-」というタイトルを思いついたのは凄まじいセンスだなと思います。何よりこのテーマは郷ひろみさんにしか歌うことができないテーマだと思いますし、流石は大スターですよね。
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