2024年 4月 24日 (水)

就航10年「ボーイング787」の今後 コロナ禍で「経済性に優れた航空機」の強み生かせるか

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バッテリー発火、エンジントラブルにも悩まされる

   大きなトラブルにも悩まされた。ひとつがバッテリーの問題だ。13年1月には日本航空(JAL)とANAの787でバッテリーから発火したり煙が出たりするトラブルが相次ぎ、米連邦航空局(FAA)が、検査と改善策の実施を命じる耐空性改善命令(AD)を発出。全世界の航空当局が追随し、全世界で787の運航が停止された。ボーイング社はバッテリーシステムを改修し、ANAとJALが787で定期便の運航を再開したのは6月初旬のことだった。

   もうひとつがエンジンの問題。787には、米ゼネラル・エレクトリック(GE)製の「GEnx」か英ロールス・ロイス(RR)製の「トレント1000」のエンジンを載せることができ、JALはGE社製、ANAはRR社製を採用していた。18年にはトレント1000の回転翼(ブレード)に亀裂が発生し、飛行中に飛散する可能性があるとして、点検が必要だとする通知を国交省とRR社が出した。多くのエンジンで部品交換が必要になったため、ANAでは機材の調整がつかずに多くの欠航が出た(21年時点ではANAもGE社製エンジンの採用を始めている)。

 

   10周年記念フライトは、羽田発岡山行きのNH653便と広島行きのNH679便の2便。NH653便の機長は、10年前の香港行きチャーター便を機長として担当した安全推進センター副センター長の塚本真巳(つかもと・まさみ)さんが務めた。塚本さんは出発前に報道陣の取材に応じ、787が「10年間素晴らしい業績を残せた」とする一方で、コロナ禍だからこそ787の価値が生かされると説いた。

「10年前は、このコロナの状況は全然想像できなかったが、今、この状態になって、経済性に優れた航空機として非常にフォーカスされ、今後のANA、航空界を支える新機種、787だと信じている」

   NH653便にもJA801Aが使用された。空港係員の横断幕に見送られ、乗客・乗員210人を乗せて10時29分に出発した。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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