2024年 4月 19日 (金)

発熱5日後「やっと病院に行けた」 コロナ回復の及川奈央「現場のひっ迫」痛感...本人語る闘病生活

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   「当社所属のタレント及川奈央が、新型コロナウイルスに感染した事を本日確認致しましたのでご報告申し上げます」――所属事務所が公式サイトでこの声明を発表したのは2022年2月1日。メディアでも報じられ、タレントの及川奈央さん(40)が新型コロナウイルスに感染したことは世間の知るところとなった。

   その後、及川さんは半月の療養を経てコロナから回復し、芸能活動を再開。療養中にSNSには多数の声援が寄せられるなどした。J-CASTニュース編集部は及川さんに回復までの過程を聞いた。

(聞き手・構成/J-CASTニュース編集部 坂下朋永)

  • 新型コロナから回復し、インタビューに答える及川奈央さん
    新型コロナから回復し、インタビューに答える及川奈央さん
  • YouTubeの10万人達成記念「シルバークリエイターアワード」を手に微笑む及川さん
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「仕事に出て頭を使うと、感染前よりも疲れる」

   2月15日、及川さんは感染前と変わらない笑顔でインタビューに応じてくれた。

――まずは、コロナからのご回復おめでとうございます。仕事に復帰されたのは2月7日とのことですね。

及川:ありがとうございます。何とか戻ってまいりました。1月23日に発熱したので、翌日から10日間は自主隔離していました。2月2日時点で症状がなければ問題はなかったのですが、まだ咳が残っていたので、保健所からの指示通りさらに72時間自主隔離しました。その後、念には念をとさらに1日間休もうと思い、2月6日まで休んでいました。

――今、体力は何%まで回復されましたか?

及川:うーん、日によって差があるのですが、お仕事が朝から夜まであると、やはり最後の方はバテてしまうというか......回復したのは7割くらいかなといった感じです。休みの日で、頭を使わずにいれば終日疲れは感じませんが、仕事に出て頭を使っていると感染前よりも疲れますし、頭痛を感じることがあります。

――各報道ではコロナの後遺症について、「集中力が戻らない」といった症状があるとされていますよね。及川さんも、集中力が戻らないと。

及川:そうかもです。あとは、とにかく頭痛ですね。それも偏頭痛とは違う、頭の奥がズーンって、「痛重い」といった感じです。それから寝起きに咳がいまだに少し出ます。ちなみに、喘息はもともとないです。

自治体「○○病院はまだ空いてます」→紹介先「いっぱいです」の繰り返し

   発症から3週間以上が経過しても、いまだ本調子ではないと語る及川さん。続けて明かしたのは、PCR検査にたどり着くまでの苦難の道のりだった。

――2月1日の感染発表では「1月23日に発熱いたしましたが診て頂ける病院が見つからず」とありましたが、なかなか見つからなかったというのはどういう状況だったんでしょうか?

及川:病院探しは苦労しました。私、ちょっと前に引っ越したので、発熱した段階で近所にかかりつけ医がいなくて、近所の発熱外来をネットで調べて手当たり次第に電話したんですけど、どこも「今日はもう新規に予約を入れられません」と言われるばかりでした。そもそもつながるまでに何度も電話しなければならない状況でした。

――発熱患者が殺到していたんですね。

及川:自治体の発熱外来を紹介するコールセンターに電話すると、「○○病院はまだ空いているので電話してください」と言われるのですが、実際に電話してみると、「予約はいっぱいです」と答えられてしまうので、やはり受けられず......といった状況が1月23日から27日まで続きました。

――もはや「たらい回し」ですね。

及川:そうなんです。コールセンターと各発熱外来の話が食い違っていて......どちらもパニックになっていたんだと思います。なので、その間は熱は出ているもののコロナだという診断は受けられなかったのですが、それでも怪しいとは思っていたので、お仕事は全て延期して自主隔離していました。やっと病院に行けたのが28日。でも、そこはPCR検査が出来る病院ではありませんでした。

――何と、そこに行かざるを得なかったんですね。

及川:そうなんです。そこで聞いたのが、「医師からの紹介がないと受けられないPCR検査所」というのがあるという話で、紹介してもらえることになり、29日にPCR検査を受けました。

――やっと、ですね。

及川:その結果、2月1日の朝にその病院から電話がかかってきて、陽性の報告を受けました。すぐに関係者に連絡し、事務所の公式サイトや私のSNSで発表しました。というわけで、ここまでの展開をお聞きになってお分かりだと思いますが、とにかく全ての現場がひっ迫していました。

感染経路は不明「強いて言うならば...」

   誰もがいつでも感染し得るコロナ。感染した及川さんが強調したのは、「どこで感染したか、全く見当がつかない」という点だった。

感染のきっかけは、「皆目見当がつかない」と明かしていた及川さん
感染のきっかけは、「皆目見当がつかない」と明かしていた及川さん
及川:今回思ったのが、本当に「どこでコロナをもらったか分からない」ということなんですよ。強いて言うならば...というレベルなんですけど、熱が出る3日前に「東京都内で電車に乗った」ということしか......。でも、そんなに長時間ではないんですよ。30分ぐらいで、座席に座ってはいましたが、最初の内は隣に人が座っていない状況で、そんなに混んでなかったし、自分の目の前に立っている乗客もいませんでした。

――そのような報道を多数目にします。本当に分からないと。

及川:車内で咳やくしゃみをしている人はいませんでしたし、しゃべっている人もいませんでした。当然、近くにいた乗客は全員マスクをしていました。あと、もう1つ挙げるとするなら、駅から出て人混みの中を歩いたということ。しかも、その日に仕事で会った方々からは誰1人、コロナに感染したとの報告は聞いていません。だから、やっぱり不思議なんですよ。私、コロナ禍以前から手を衛生的に保つのが好きで、今回も手洗いなどはきちんとしていたんですが......。

――本当に不思議ですね。症状の変遷についてもお聞きします。

及川:1月23日に熱が38.7度まで出て、悪寒、咳、鼻水の症状もありました。関節痛はあまりなかったので、高熱が出ている割にはそんなにつらくありませんでしたが、倦怠感はありましたね。

――汗はどれぐらい出ましたか?

及川:全然出ませんでした。なので、冷却シートで体温を下げていました。

――2日目はどうでしょうか?

及川:解熱鎮痛剤を飲んだところ熱は下がりました。それ以外の症状については、時系列ははっきり覚えていませんが、日に日にどころか刻々と変化していきました。食欲がなく、咳が凄く出たほか、頭痛も。くしゃみと鼻水もあって、私は花粉症なので、最初は「花粉症かな?」と思いましたが、目がかゆくないことに気付き、コロナだろうなと思いました。ただ、のどの痛みと痰は最後までなかったですね。なので、咳は喉からというよりは気管から出ている感じでした。あと、味覚障害や嗅覚障害は発症中もなく、後遺症もありません。

――味覚・嗅覚の障害はなかったんですね。

及川:他に出た症状ですが、胃が疲れた感じがしました。ただ、これまで挙げるとどこまでがコロナによるものだったのか、あやふやになってきますね。普段からそんなに胃は強くないので。それと、先程と重なりますが、倦怠感。起き上がるまでに時間がかかるので、それだけで一苦労という感じでした。あとは、これも先程と重なりますが、頭を使うとすごく疲れるんです。自宅療養中はネット配信の映画を見たりしていたのですが、頭を使う内容の作品は見られませんでした。単純なアニメを見ていました。

――風邪薬のCMみたいになってしまいますが、普段、及川さんの風邪は喉からですか? 鼻からですか? 熱からですか?

及川:喉からですね。普段は扁桃腺が腫れることが多いので、最後まで喉が腫れなかったのは本当に意外でした。また、飲んだ薬は病院に行くまでは市販の解熱鎮痛剤、その後は一般的な処方薬でした。ちなみに私、2009年に新型インフルエンザが流行った際に感染してしまったんですが、その際には40度近く熱が出ました。

自宅療養中にあると良かったと思うものは?

   及川さんは、療養中に役に立ったものについても語ってくれた。

――自宅療養に備えるとしたら、アドバイスはズバリ何でしょう?

及川:水は買い置きしていましたが、経口補水液はなかったので、あればなお良かったと思います。外に出られないというのが初めてだったので、思い立っても買いに行けないですからね。あとは、ジャンルが偏らないようにしつつ冷凍食品を揃えておくと良いかなと思いました。

――なるほど!

及川:それと私の場合、家のストックを見たら、炭水化物の多い食材しかなかったので難儀しました。特に、無性に食べたいと思ったのになかったのが卵。あとはビタミン補給として、野菜ジュースですかね。

――食品以外には?

及川:やはり、ティッシュなどの生活必需品は買い置きしておいた方が良いですね。あと、お風呂に入る体力すらなくなるので清拭が必要になりますから、ウェットティッシュもそうですけど、私は蒸しタオルも使っていました。蒸しタオルを作る際には水で湿らせたタオルを電子レンジで加熱していました。だから、一番役に立ったのが電子レンジ! 冷凍食品を加熱する際にも使えますからね。

――あー! 電子レンジ!

及川:そうなんです。あとは配達業務をやっているスーパーや、さっきの話で言うと、発熱外来を事前に調べておくことですね。発症してからだともはや探すことすらつらいので。

ワクチン3回目は「打つ予定」

   及川さんは2016年12月に当時41歳の男性会社員と結婚するも、2021年8月に離婚を発表。現在は独身だ。記者は独身者としてコロナ感染をどう感じたかについて話を聞いた。

――これをお聞きするのは非常に恐縮なのですが、及川さんは昨年8月に離婚を発表しました。療養中、家の中では最初から最後までお1人だったのでしょうか?

及川:そうなんです。孤独でした。

――ただ、パートナーがいたら、ましてや子供がいたら、今度は家の中がパニックになってしまいますかね。

及川:本当にそうだと思います。否が応でも自分の家族全員が濃厚接触者になってしまいますからね。私は1人暮らしで「誰にもうつす心配はない」ですから、家の中で隔離されるということはなかったのですが、家族や同居人がいる場合は「家庭内での隔離」が必要になりますからね。

――同居家族がいると「助けてくれる人」はいますが、一方で感染に注意しなければいけませんからね「1人で熱を出すと大変だ」という話はワクチン接種の際にも言われることが多いですが、及川さんはワクチンを打った時はどのような影響が出ましたか?

及川:私はモデルナワクチンを2回打っていますが、副反応の熱は2回目で出ました。最高で38.5度。ただ、それほどつらくはありませんでした。

――これはちょっと不躾な質問になってしまうかもしれませんが、2回ワクチンを打った及川さんが発症してしまいました。ワクチンに対して何か思うことはありますか?

及川:これは「たられば」の話になってしまいますが、打っていなければさらに高い熱が出ていたのかなとも思うので、打っておいて良かったなっていう感じです。というのも、私は知り合いが妊娠中にコロナを発症したんですけど、妊娠中ということで接種をためらっていた最中の発症でした。結果、重症化して大変な目にあいました。回復して子どもも無事生まれ、母子ともに健康ですが、本人から「打つべきだった」と聞いたのは大きかったです。私は仕事上いろいろな方にお会いするので、やはり打つ予定です。

医療従事者と保健所職員は「本当に大変なお仕事をなさっている」

   及川さんが最後に強調したのは世間に散見される「安易な考え」への戒め、そして、医療関係者への感謝だった。

YouTubeアカウント「なおチャンネル」は変わらず続けていきたいと語った及川さん
YouTubeアカウント「なおチャンネル」は変わらず続けていきたいと語った及川さん

――及川さんは入院するレベルにまで悪化せずに回復なさったので、医学上の定義では「軽症」だったということになるかと思いますが、「コロナの軽症」って世間一般が思う「軽症」のイメージとは違いますよね。

及川:そうなんです。症状は皆さんそれぞれだと思いますが、私の場合は通常のインフルエンザよりもつらかったです。それと「不安」。どんどん症状が変わっていくし、初めてかかる病気なので、「何時間か後にはこういう症状になる」ということが全く分かりません。世間で「オミクロン株は感染しても軽症が多いから、大したことはない」といった主張をチラホラ聞きますが、「絶対にそんなことはない!」と申しておきます。

――そうした主張は確かにチラホラ聞こえてきます。

及川:コロナ後遺症について感染したことがある知人たちに聞いてみているのですが、人によって症状は様々のようで、後遺症というようなものは無かったという人もいますが、精神的に不安になったり、倦怠感と頭痛、咳、あと抜け毛があったりという話も聞きます。時間が経てば治ると言われてはいるようですが、個人差もあるようですし、治療法がないのが不安です。今現在、私の症状としては頭痛、めまい、咳、倦怠感が残っています。

――これからの仕事はどうされていきますか?

及川:今後は無理のないペースで仕事をしていくしかないようです。早く元のように何も気にせず頭を使いたいし、思いっきり運動したり身体を動かしたりしたいです。春には5年振りに舞台に復帰するので、そのためにも早く回復させなければと強く思っています。

――コロナ感染を経て、ほかに思うことはありますか?

及川:思ったのが、医療従事者の皆さんは本当に大変なお仕事をなさっているということですね。それから保健所の職員の方々。さっきも言いましたけど、本当に電話がつながらなかったんです。でも、つながったら、電話の先の皆さんはとても丁寧な対応でした。絶対疲れているでしょうけど、それでも丁寧だったのが本当に印象的でした。
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