日本航空(JAL)の赤坂祐二社長は2022年10月5日、成田空港で報道陣の取材に応じ、岸田文雄首相が水際対策緩和を打ち出してから、海外発日本行きの国際線の予約数が3倍以上に増えたことを明らかにした。
ただ、その多くが国外から日本にやってくる「インバウンド需要」で、日本発の需要は「まだ、かなり弱い」。観光需要は円安の影響で冷え込んでおり、海外出張を制限している日本企業も多い。赤坂氏によると、海外に出てビジネスをする際も「日本人だけいない」。「こういう状況はまずいんじゃないかなあ...」と危機感をあらわにした。
「こういう状況はまずいんじゃないかなあ...私どもが言う話じゃないのかも知れませんけど」
岸田文雄首相は訪問先のニューヨークで9月23日(日本時間)、短期滞在ビザの免除や個人旅行の解禁を表明した。海外発日本行きの11-12月の予約数について、首相発言直前の9月9~15日と、直後の9月23~29日を比べると、3倍以上に伸びたという。特に香港や台湾からの予約が伸びているといい、「円安がものすごい追い風」になっている。
ただ、日本発の需要は「まだ、かなり弱い」状況だ。観光需要は「円安の影響がものすごく大きい」上、ビジネス需要は「まだまだ海外でビジネスに行けるというような機運が、まだ企業の中にない。まだまだ海外への出張を制限している企業がたくさんある」ため、低調な状態が続いている。その上で次のように話し、海外出張を避けることによる日本経済への影響を懸念した。
「これではやっぱり、日本の経済あるいは産業が、これから、ちょっと難しいんじゃないかなぁと思う。私も海外に出ているが、まったくそんなこと(コロナ禍)関係なく、フェイス・トゥ・フェイスのビジネスが行われている。日本人だけいない。こういう状況はまずいんじゃないかなあ(と思う)。私どもが言う話じゃないのかも知れませんけど。早く日本人の皆さんの需要が戻ってくることを期待しています」