2024年 5月 17日 (金)

ロシアの動員は「召集」?それとも「招集」? 漢字表記めぐり疑問の声...日本語学者に見解聞いた

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「外国の政府の『召集』『招集』について、私たちは考えてこなかった」

   ロシアの部分的動員令について、「召集」と「招集」のどちらを使うべきかについて聞くと、

「メディアで表記が分かれている状況は興味深いですね。これはもっともなことです。過去に紛争や戦争は多く報道されてきましたが、『外国の政府が自国民を戦争に駆り出すこと』がニュースの焦点になることは、あまりありませんでした。それで、『召集』『招集』のどちらを使うべきかについて、私たちは考える機会がなかったし、メディアでも慣用が出来上がっていない。今のところは、『招集』が優勢のようですが、『召集』を選ぶメディアにもそれなりの理由があるでしょう。今後、メディアの中でどのように慣用が定まっていくか、注視していくつもりです」

と話した。

   次に、国内における「召集」と「招集」の違いについて聞いてみた。

「日本国内に話を限れば、国会は『召集』、地方議会は『招集』と使い分けられているのはご存じのとおりです。この区別はすでに旧憲法の時代からありました。たとえば、1922年(大正11年)に出た『現代大辞典』という新語辞典を見ると、帝国議会は『召集』、府県郡市町村会などは『招集』と区別されています。『召集』は勅令(天皇の命令)で呼び集められることであり、そこが一般の議会の『招集』と区別されるんですね。旧日本軍が在郷軍人などを呼び集めたのも『召集』です」

   最後に、飯間氏は「召集」と「招集」の今後の動向について、以下のように考えを述べた。

「日本国内での『召集』『招集』の使い分けは問題ないとして、外国の場合はどうするか、メディアは改めて考えてみてもいいでしょう。手元にある外国文学の翻訳を見ると、『市議会の召集』『国民軍を召集』など、むしろ『召集』が多い印象です。天皇とは関係なく『召集』も使われるのです。『召集』には『招集』にはない『上位者が下位者を集める』という意味合いがあるため、その意味を持たせたい場合に『召集』を使うのでしょう。ロシアのプーチン大統領が兵士を集めることを『召集』と表現すると、有無を言わさぬ感じが出ます。『召集令状』を『招集令状』と言い換えた場合、それに応じる『応召』は『応招』になるのか、そんな表記は見慣れないがいいのか、などと、いろいろ議論すべきことはあります」

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)

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