2024年 4月 20日 (土)

「サクマ式」「サクマ」ドロップスの違いは?廃業報道で混乱も 営業継続のサクマ製菓に聞く「歴史とこだわり」

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   赤色の缶の「サクマ式ドロップス」で知られる佐久間製菓(東京都豊島区)が廃業する見通しだと各メディアに報じられ、ネット上では、緑色の缶の「サクマドロップス」とはどう違うのかと、戸惑いの声が相次いでいる。

   創業者は同じだというが、一体何が違うのだろうか。サクマドロップスを販売し営業を続けると明らかにしたサクマ製菓(東京都目黒区)に聞いてみた。

  • 緑色の缶のサクマドロップス(写真は、サクマ製菓提供)
    緑色の缶のサクマドロップス(写真は、サクマ製菓提供)
  • こちらはサクマ式ドロップス(写真:ロイター/アフロ)
    こちらはサクマ式ドロップス(写真:ロイター/アフロ)
  • 緑色の缶のサクマドロップス(写真は、サクマ製菓提供)
  • こちらはサクマ式ドロップス(写真:ロイター/アフロ)

「社名や商品名が似ているため、お客様に混乱を与えてしまって」

   「サクマ式ドロップス」は、赤や黄色、緑など色とりどりのキャンディが入った缶でお馴染みだ。

   佐久間製菓の公式サイトによると、1908年に佐久間惣治郎氏が初の国産ドロップとしてサクマ式の登録商標を得て創業した。戦時中に工場が焼失したが、戦後の48年に実業家が再興した。東京都八王子市内に工場を作り、果汁入りのキャンロップなどの商品も送り出した。

   ところが、東京商工リサーチなどの報道によると、佐久間製菓は、23年1月20日に廃業すると取引先に通知した。理由としては、新型コロナウイルスの影響による販売減や原材料・エネルギー価格の高騰、人手不足などを挙げたという。

   「サクマ式」と「サクマ」の2つのドロップスが流通していることから、ネット上では、ややこしくて混乱するとの声が相次いだ。

   これに対し、サクマドロップスを手がけるサクマ製菓は9日夜、公式ツイッターを更新してこう告知した。

「この度は、佐久間製菓様の廃業について、多くのお問合せを頂いておりますが、弊社の営業や生産は従来通り続けてまいります。社名や商品名が似ているため、お客様に混乱を与えてしまっているかと思いますが、引き続き精進して参りますので、何卒変わらぬお引き立てを賜りますよう、お願い申し上げます」

   佐久間製菓との違いについて、サクマ製菓の商品企画部は10日、J-CASTニュースの取材に対し、佐久間惣治郎氏が創業したのは同じだとしたうえで、次のように話した。

「基本の作り方は同じだが、味の種類や配合の点で2社が違う」

「戦時中の企業整備令によって、1944年に廃業した後、当時の社長の息子が翌45年にドロップスの製造を再開しました。48年には、サクマドロップスの名前を付け、翌49年には、サクマ製菓としてスタートしています」

   サクマ式との違いについては、こう説明した。

「サクマ式という基本の作り方は、今に至るまで創業のときと同じです。しかし、味の種類や配合といった点で2社が違っています。サクマ式もサクマも、8種類の味がありますが、チョコレート、グレープの味があるサクマ式に対し、サクマはメロン、スモモの味にしています。それ以外は、味の種類は同じですが、配合方法によって風味が違うかもしれません。どちらも果汁入りですが、サクマの特徴としては、フルーツや素材の美味しさを意識しています。フルーツの香りが楽しめるということですね。果汁の種類が違ったり、製法、釜や機械が違ったりすることも影響していると思います」

   佐久間製菓と同様な困難があるかについては、こう明かした。

「基本的な問題の構造は、お菓子業界全体で確かにあります。私どもは、歴史を大切にしながらも、『いちごみるく』など新しいキャンディをたくさん作っていますので、経営的には問題ないと考えています。サクマドロップスは、全体の半分も占めておらず、いちごみるくと2本柱になっています。チョコレートキャンディのチャオも人気ですね。また、ソフトクリームの上にいちごみるくを砕いて入れたりするなど、食べ方や用途を変えて、幅を広げるようにしています」

   佐久間製菓の廃業報道については、次のように話した。

「同じ業界でキャンディを作っている会社として、対岸の火事ではありませんね。創業が同じ会社が1つなくなるというのは、とても寂しいことです。佐久間製菓さんとは、商談や展示会でご一緒することもあり、他のメーカーと同じようなお付き合いをしていました。その製品を引き継ぐということは、社内から聞こえてきませんが、伝統は守り続けて製品化を続けたいと考えています。お客様から誤認されるのがとても心配で、うちは元気ですよとお伝えしたいですね」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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