2024年 4月 20日 (土)

「共産党滅びかねない」 党首公選主張・松竹伸幸氏、除名処分に猛反発「言論の自由死ぬ」

   自らの著書「シン・日本共産党宣言──ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由」(文春新書)で、共産党で党首公選を行うように求めている現役党員の松竹伸幸氏(67)が、党の規約上最も重い「除名」の処分を受けることになった。小池明書記局長が2023年2月6日の記者会見で明らかにした。規約では、1950年代に党が分裂した「50年問題」を背景に、「党内に派閥・分派はつくらない」と明記されている。今回の党首公選の主張や、著書の出版が分派活動とみなされた。

   この日、東京・内幸町の日本記者クラブで書籍の出版会見を開いた松竹氏は、除名問題に言及。処分は不当だとして、「出版が分派活動として処分されるのであれば、憲法の言論・表現の自由は死ぬし、そんなことを進める共産党だって滅びかねない」と主張。党規約に基づいて再審査を求める考えだ。

  • 日本記者クラブで記者会見する松竹伸幸氏。除名処分について再審査を求める考えを明らかにした
    日本記者クラブで記者会見する松竹伸幸氏。除名処分について再審査を求める考えを明らかにした
  • 日本記者クラブで記者会見する松竹伸幸氏。除名処分について再審査を求める考えを明らかにした

出版で「党員に同調を呼びかけている=分派活動」と主張

   松竹氏によると、松竹氏が党員として所属する京都府南地区委員会から1月25日に呼び出しの電話があり、2月2日に聞き取り調査が行われた。その結果、松竹氏が「分派」活動を行っているとして、5日に除名処分を決めた。処分は党京都府委員会などの名前で行われた。

   共産党は、1月21日に機関紙「しんぶん赤旗」に「規約と綱領からの逸脱は明らか ――松竹伸幸氏の一連の言動について」と題した論説記事を掲載して松竹氏の主張を批判。ただ、志位和夫委員長は記者会見の場で「そこで述べられている通り」などと述べるにとどめ、自分の言葉による説明を避けてきた。  赤旗の論説記事では、党首公選制の主張を「松竹氏自身も同意したはずの党規約に違反する行為」と非難する一方で、分派活動に当たるという具体的な指摘は避けてきた。だが、地区委員会は「この本を出して、党員に同調を呼びかけている」、つまり分派活動を行っていると主張したという。松竹氏は、この処分は赤旗記事との整合性がとれない「こじつけ」だと非難した上で、規約の解釈にも問題があると主張した。

   党員に対する処分を定めた第50条では、

「党員にたいする処分は、その党員の所属する支部の党会議、総会の決定によるとともに、一級上の指導機関の承認をえて確定される。特別な事情のもとでは、中央委員会、都道府県委員会、地区委員会は、党員を処分することができる」

とある。松竹氏に対する処分は、「支部の党会議、総会の決定」を飛ばして、後段の「特別な事情」を適用して、支部の上にある京都府委員会が決定。松竹氏は、この点を

「本来は、支部が崩壊しているような事情を『特別な事情』というはずなのに、支部に任せれば除名処分を決めることができないという判断で規約をゆがめたという点でも、大変重大な問題」

だと批判した。

「出版が分派活動として処分されるのであれば、憲法の言論・表現の自由は死ぬ」

   処分の見通しが報じられてから、共産党を批判するツイートが相次いでいる。無党派層を中心に支持者離れが加速するとみられ、

「出版が分派活動として処分されるのであれば、憲法の言論・表現の自由は死ぬし、そんなことを進める共産党だって滅びかねない」

とも話した。

   規約第55条には

「被除名者が処分に不服な場合は、中央委員会および党大会に再審査をもとめることができる」

とある。松竹氏としては、24年1月に行われる見通しの党大会で再審査を求め、同時に党首公選についても議決に持ち込みたい考えだ。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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