「これほど素晴らしいファンアートのある映画を見たことがありません」――上映中の映画「ヴァチカンのエクソシスト」のファンアートがSNSで広がり、プロデューサーを務めたジェフ・カッツさんが日本のファンたちに感謝した。映画の配給・宣伝を手掛けたソニー・ピクチャーズエンタテインメントは2023年7月21日、J-CASTニュースの取材に対し、興行収入も順調に伸びていると明かす。「これからもファンアートを投稿して」プロデューサーが異例の呼びかけ「ヴァチカンのエクソシスト」は14日から全国で上映されている。悪魔祓いをしたとする実在の神父の回顧録「エクソシストは語る」をホラー映画化した。主人公のアモルト神父は、アカデミー賞俳優のラッセル・クロウさんが演じる。ダニエル・ゾヴァットさん演じる相棒のトーマス神父とともに、強力な悪魔と対峙する。ツイッターには、2人を描いたファンアートが数多く投稿されている。投稿した1人、いちろ~さんは取材に対し、アモルト神父のキャラクターに魅了され、「観終わったらイラストを描きたい」と決意したと明かす。「元々映画好きで、特にホラーは大好きです!今回ラッセル・クロウ氏が神父役ということで、新鮮な役柄だと思い、すぐ観に行こうと決めていました」17日、大柄なアモルト神父が小さな原付で仕事場に向かうシーンを描いたファンアートをツイッターに投稿すると、思わぬ反響があった。カッツプロデューサーがツイートを引用し、冒頭のように日本語で絶賛していた。カッツプロデューサーは、日本から多数のファンアートが寄せられたことを喜び、公開翌日から自らのツイッターアカウントで紹介していた。17日には、全てのイラストをラッセル・クロウさんに共有したとして、日本語で次のように呼びかけた。「これからもファンアートを投稿してください。日本のファンは世界で最も情熱的なファンです」主演俳優も言及「このアーティストは素晴らしい。作者は誰?」ラッセル・クロウさんもツイッターで、いちろ~さんのイラストに言及し、こう述べた。「日本からさらにファンアートが。このアーティストは素晴らしい。作者は誰?」(編集部訳)カッツプロデューサーはいちろ~さんのイラストだと伝えたうえで、「これをポートレートとして家の壁に掛けます」「これは私のお気に入りのファンアートの1つです」など再びべた褒めしている。取材に対し、いちろ~さんは「自分のファンアートが映画関係者の方々に届き、しかも喜んで見てくださっているなんて、ファンとしてこれほど嬉しいことはないです!」と喜ぶ。カッツプロデューサーとラッセル・クロウさんは連日、ツイッターで気に入ったファンアートを紹介し続けている。他のファンアート投稿者も驚いた様子だ。取材に応じた2人のファンは次のように述べる。もなかさん「はじめ『ラッセル・クロウ様に見せた』と聞き血が凍りました...『グラディエーター』のマキシマス将軍ですよ?大スターですよ?もうパニックでした。関係者に見られてるなんて全く想像の外でした。好意的に受け取ってもらえてると知って心からホッとしました」chienさん「まさか関係者が?と焦りました。ファンアートを喜んで受け止めてくれた制作者や俳優さんの寛容さと作品に対する愛情に嬉しさと感謝で一杯です。描いてよかった...」プロデューサー「この映画に関わった者全員が驚かされている」取材に対しカッツプロデューサーは21日、ソニー・ピクチャーズエンタテインメントを通じて、日本語と英語で次のように答えた。(引用は全て原文ママ)「ファンアートを制作するクリエイターたちの才能と情熱には、この映画に関わった者全員が驚かされていると言っても過言ではありません。It'snoexaggerationtosaythateveryoneinvolvedinthisfilmhasbeenblownawaybythetalentandpassionofthecreatorsbehindthefanart.」カッツプロデューサーは「X-MEN」や「スネーク・フライト」「フレディVSジェイソン」など数々の映画に携わってきたというが、「それらの経験はどれも、先週の経験(編集部注:多数のファンアートが寄せられた出来事)に匹敵するものではありません」と語る。ファンアート投稿者の技術力や職人技を誇らしく思うと同時に羨ましく感じているという。ファンアートの作家たちに対し、作家自身のファンも獲得してほしいと強く願う。「この時点で、これは彼らの映画であり、もはや私たちの映画ではありません。私たちは彼らのファンになりました。Atthispoint,thisistheirmovie,nolongerours.Webecametheirfans.」流ちょうに日本語で答えるカッツプロデューサーは、幼いころから日本のプロレスファンだったという。日本語の授業があるデトロイトの高校に入学し、恩師の先生のもとで学びを深めたと明かす。「私も15歳のとき、この授業で日本のプロレスに関するレポートを書きました。実は私の同級生の一人が今家族で大阪に住んでいます。これらのクラスは、プロレスとビデオゲームへの私の愛と相まって、言語を練習するのに役立ちました。WhenIwas15,IalsowroteareportonJapaneseprofessionalwrestlinginthisclass.Actually,oneofmyclassmatesisnowlivinginOsakawithhisfamily.Theseclasses,combinedwithmyloveofprofessionalwrestlingandvideogames,helpedmepracticethelanguage.」カッツプロデューサーを物語るには、アントニオ猪木さん、ジャイアント馬場さん、力道山さんの存在が不可欠だ。彼らのグッズを自宅に並べながら、「日本は私の一部」に感じていると熱弁する。「現在、世界の映画ビジネスを取り巻く環境は極めて厳しいものとなっております。地元の映画館をサポートすることがこれまで以上に重要になっています。この映画のファンの情熱と闘争心は、この映画に取り組んだチームにインスピレーションを与えます。私たちは今、これがあなたの映画だと心から感じています。私たち映画制作者は今やオタクです。Japanesefans,weloveyou.Currently,theenvironmentsurroundingtheworldfilmbusinessisextremelysevere.Supportinglocalcinemasismoreimportantthanever.Thepassionandfightingspiritofthefansofthisfilminspirestheteamthatworkedonit.Wenowtrulyfeelthatthisisyourmovie.Wefilmmakersaregeeksnow.」ファンからの温かい応援は、苦境に置かれた映画関係者を鼓舞する。ソニー・ピクチャーズエンタテイメントも取材に対し、「日本の皆さんのファンアートや作品へのポジティブな感想がツイッターで増えて、口コミが拡がっております。興行収入も順調に伸ばしており、大変ありがたい現象です」と述べる。カッツプロデューサーは日本のファンに対し「私たちはあなたを愛しています、そしてさらなる冒険が待っています!」と呼び掛けた。(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)
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