宝塚歌劇団員の急死問題、調査は「中途半端」 識者が指摘した問題点の数々

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   宝塚歌劇団の宙組に所属する女性が2023年9月に急死した問題を受け、歌劇団は11月14日に記者会見を行い、外部弁護士からなる調査チームによる調査報告書も併せて公表した。SNSではこの調査チームの構成について適切だったのか、疑問視する声が上がっている。

  • 宝塚歌劇団公式サイトより
    宝塚歌劇団公式サイトより
  • 宝塚歌劇団公式サイト「調査報告書 概要版」より
    宝塚歌劇団公式サイト「調査報告書 概要版」より
  • 宝塚歌劇団公式サイトより
  • 宝塚歌劇団公式サイト「調査報告書 概要版」より

独立性、客観性に疑問符

   調査報告書によると、調査を担当したのは大江橋法律事務所の弁護士9人だった。

   宝塚歌劇団を運営する阪急阪神ホールディングスのグループ会社である流通大手「エイチ・ツー・オー リテイリング」の社外取締役が同弁護士事務所に所属していること、構成される弁護士が全員同じ事務所に所属していることなどから、SNSでは調査チームとして適切なのか疑問視する声が上がっている。

   郷原総合コンプライアンス法律事務所の郷原信郎弁護士はJ-CASTニュースの取材に対し、「今回の問題については、劇団としての価値を高めていくために培ってきた宝塚独特のやり方は認めつつ、精神的、肉体的にあまりに負担がかかる状況を防止するためにどう考えていったらいいのか、問題の本質を解明して世の中が納得できるような調査結果を出すことはとても難しい」とした上で、次のように見解を示した。

「今回の調査の目的が、本当にパワハラがあったかどうかという客観的な事実を明らかにすることだけであれば、必ずしも不十分な調査体制ではないと思います。しかし、調査報告書を見ると、『評価』に関する部分もかなりあり、再発防止のための提言もしています。そうであれば、独立性、客観性をもう少し重視した方が良かったと思います。また、構成メンバーにおいても、いろいろな専門性を持った人を集めた委員会のような形にして、この問題をもっと深く調査することが可能なメンバー設定もあり得たのでは。そういう意味で、中途半端という感じがします」

   郷原弁護士は調査期間の短さについても言及した。複数報道によると、女性が死亡したのは9月30日。歌劇団が調査結果を受領したのは、公式サイトによると11月10日となっている。

「かなり急いでヒアリングをし、調査報告書をまとめたように見えます。おそらくこれだけの期間では、問題を掘り下げてきちんと解明するのは難しいでしょう。本来は、宝塚がどういう方針で、稽古や教育、指導を行ってきたのか、組織そのもののあり方から考えていかないと、今回の自死の原因や、パワハラ、長時間労働との関連性はわからない。そういう意味では十分な調査にはなっていないのと感じます」
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