2024年 4月 29日 (月)

首相答弁に思わず「酷な言葉ですよ、正直言って」 能登半島地震から3週間、被災地議員が国会で訴えたこと

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   通常国会召集を前に、国会では能登半島地震にテーマをしぼった集中審議が行われた。2024年1月24日午前に行われた衆院予算委員会では、被災地にあたる石川3区が地盤の西田昭二(自民)、近藤和也(立憲)両議員が質問に立ち、復興に向けた要望を岸田文雄首相に伝えた。

   SNS上では、特に近藤氏の質問が被災者に寄り添った内容だったと称賛する声が上がっている。被災者生活再建支援金の引き上げに関して答弁した岸田氏に対し、近藤氏が「酷な言葉ですよ」などと訴える場面もあった。

  • 公式YouTubeチャンネル「立憲民主党 国会情報」より
    公式YouTubeチャンネル「立憲民主党 国会情報」より
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水道の早期復旧に「力強い国からの支援を」

   最初に西田氏が16分ほど質問に立った。インフラの復旧の中でも特に断水の早期復旧を求める声が多くの被災者から上がっていると説明し、「力強い国からの支援を是非ともお願いいたします」と要望した。

   岸田氏は、発災当初からインフラの応急的な復旧に全力を挙げたと述べつつも、「インフラの本格的な復旧にはまだかなり時間がかかる見通しであります」と説明。水道や通信などの復旧に関する対応に言及した上で、「早期復旧に全力で取り組んで参りたいと考えています」と答えた。

   また、西田氏は「能登地域は、農林水産業、観光業、伝統産業を中心に栄えてきた地域であります。本当にこの産業が壊滅的な状況になっているわけでございます。産業の復活を含めた支援を是非ともよろしくお願いいたします」とも話した。

   岸田首相は、能登地方の経済について「雇用維持や事業継続の支援、これは不可欠であると考えています」との見解を示し、次のような方針を説明した。

「明日にも生活となりわい支援のパッケージを取りまとめることにしておりますが、その中でも、農林水産業をはじめとする地方の中小企業等のなりわい再建、これはしっかり盛り込んで参ります」

   26日には1500億円規模の予備費の使用を決定する方向で調整しているとも答え、「被災者の立場に立って生活のなりわいの再建、全力で取り組んで参ります」と締めくくった。

「保険とか共済といった制度への加入も重要」ではあるけれど

   次に、近藤氏が39分ほど質問に立った。自らの被災経験について振り返った上で、各避難所で受けた要望を岸田氏に伝えた。被災者の要望の中でも、西田氏と同様、近藤氏も断水の早期復旧を求めた。

「水の問題というのは命の問題であり、そして過疎地を救うという大変重い問題でございますから、前倒しという希望の光は頂きましたが、勝負の3か月、なんとか年度内3月中に水が来るようにするといったご答弁をお願いいたします」

   これに対し、岸田氏は「そうした思いはしっかり受け止めながら、こうした実務面での応援、拡充をしっかり行っていかなければならない」などと答えた上で、「現実決して甘くはありませんが、地元のこうした期待や声はしっかり受け止めながら努力を続けていきたいと思います」との方針を示した。

   立憲・日本維新・国民が共同提出すると発表した「被災者生活再建支援法改正案」は、住宅が損壊した世帯への支給額を、現行の最大300万円から600万円に倍増させるのが柱。近藤氏は「従来のお金では全然足りない」と、改正案の趣旨を説明。さらに、最大100万円の「基礎支援金」を200万円に引き上げる理由として、生活手段としての車の重要性を訴えた。

   これに対し、岸田氏は

「住宅を再建される被災者への経済的支援のあり方について、能登の実情に合わせて追加的な方策を検討いたします、ということを申し上げた次第です。その際に、やはり災害が多い地域において、保険とか共済といった制度への加入も重要であるという観点、さらには、被災者生活再建支援金は、災害による財産の損失を補填するというものではなく、被災者を側面的に支援するという性格のお金であるということ。さらには、過去の災害とのバランスや公平性の観点から、どういう方策を用意するべきなのか今検討しているところです」

と答えた上で、災害復興住宅融資や税制上の特例対応といった制度と組み合わせることで住宅や車などの支援を考えることは重要だとした。

70歳、80歳、90歳の人がお金借りれますか?無理ですよ

   近藤氏は、この岸田氏の発言に対し、「酷」という言葉を使いながら、被災地の実情を改めて訴えた。

「被災された方に保険とか共済とか、今まで災害の時によく言われますけど、酷な言葉ですよ、正直言って。今更どうしようもできないですから。そして、元々の『被災者生活再建支援法』は生活支援ということですよね、(被災地は車社会で)車はもう生活ですから。ここの位置付けをしっかりと持った上で進めていただきたいと思います。そして、融資という言葉も、これは事業者にも同じなんですけども、融資も酷ですよ。70歳、80歳、90歳の人がお金借りれますか?無理ですよ。貸してくれないですよ、返せないですよ。ですから、できれば、言葉そのものに冷たいという言葉はなくても、羅列されるとやっていけないです。そこはなんとか被災者の方に思いを寄せていただきたいと思います」

   その後も近藤氏は、仮設住宅やなりわい再建支援事業について岸田氏をただした。

   近藤氏の質問に対し、国民民主党の玉木雄一郎代表は同日、「本日の予算委、被災地が選挙区の近藤和也代議士は被災者に寄り添った的確な質問をしていた」とX(旧ツイッター)でコメント。そのほか、「近藤さんの被災者の為の心のこもった質疑」「近藤和也議員の言葉、温かい」などと称賛する声が上がっている。

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