目前に迫ったソフトバンクのガラケー終焉、知らない人けっこう多い 「どうせ告知や案内だ」と思わないで...専門家が解説

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   懐かしの「ガラケー」(フィーチャーフォン)が消える日が近づいてきた。

   au(KDDI)に続き、ソフトバンクが2024年4月15日に3Gサービスを終了する(石川県を除く)。残るのはNTTドコモだけだ。

   そんななか、モバイル専門の市場調査を行うMMD研究所(運営元はMMDLabo、東京都港区)が2024年4月8日に発表した「2024年3Gサービス終了に関する実態調査」によると、3Gサービスに関する質問の正解率は、「ガラケー」とは無縁の若い世代のほうが高く、シニア層のほうが低い。

   「ガラケー」愛用者は大丈夫だろうか。調査担当者に聞いた。

  • 懐かしのガラケー
    懐かしのガラケー
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3Gサービスの終了、6割以上が間違って記憶

   モバイル市場は現在、3G回線(第3世代移動通信システム)の4倍の高速化が可能な4G回線(第4世代移動通信システム)の普及が進み、さらなる高速通信が可能な5G回線(第5世代移動通信システム)へと移り変わる時期に差し掛かっている。

   それに伴い、2001年から親しまれてきた3G回線の提供は、近々終了する。

   すでにau(KDDI)が2022年3月末に終了。SoftBank(Y!mobileも含む)が2024年4月15日に終了予定だ(契約者住所が石川県のユーザーに限り7月31日)。残るdocomoも2026年3月末に終了すると発表している。

   3G回線が終了すると、3G回線にしか対応していないガラケーや、3G回線のみを提供するモバイルWi-Fiルーターは利用できなくなる。

   MMD研究所の調査(2024年3月29日~4月1日)は、全国の18歳~69歳の男女7000人が対象。まず、メイン利用の端末を聞くと、スマホが6456人(92.2%)、ガラケーが111人(1.6%)、ガラホ(4GLTEケータイ)が70人(1.0%)だった。

   3Gサービス終了を知っているかを聞くと、「知っている」と回答したのは50.6%で、年齢が高いほど認知度が高い傾向になった。スマホ利用者は52.6%、ガラケー利用者は68.5%が知っていた【図表1】。

(図表1)3Gサービス終了の認知・年代別(MMD研究所作成)
(図表1)3Gサービス終了の認知・年代別(MMD研究所作成)

   次に、メイン利用の端末をdocomo、SoftBank、Y!mobileで契約している1641人を対象に、自分の通信会社の3Gサービス終了について知っているかを聞くと、「知っている」が44.1%、「知らない」が55.9%となった。

   そこで、「知っていると」と答えた人に改めてサービス終了の年を聞くと、正答率は35.8%だった。6割以上の人が間違って記憶していたわけだ。【図表2】。

(図表2)契約している3Gサービス終了の認知と、認知者の終了年の正答率(MMD研究所作成)
(図表2)契約している3Gサービス終了の認知と、認知者の終了年の正答率(MMD研究所作成)

   いかに多くの人が、3Gサービスの終了について、わかっているようでわかっていないか――。

   3Gサービス終了について知っていると回答した3542人を対象に、7問のクイズ形式で知識を確認したのが【図表3】だ。全問を正解した人は10.9%しかいなかった。

(図表3)3Gサービス終了に関するクイズ(MMD研究所作成)
(図表3)3Gサービス終了に関するクイズ(MMD研究所作成)

   最後に、ガラケーを利用しているに、3Gサービス終了後にどうするかを聞くと、「何も検討していない」(40.8%)が最も多く、「スマホへの機種変更」(32.0%)、「ガラホへの機種変更」と続いた【図表4】。

(図表4)ガラケー利用者の3Gサービス終了後の意向(MMD研究所作成)
(図表4)ガラケー利用者の3Gサービス終了後の意向(MMD研究所作成)

   ガラケーの愛用者は全体の1.6%に減っているが、そのうち4割近くの人が今後どうするか、まだ迷っているわけだ。

ガラケー愛用のシニアは、メルマガを読まない

   J‐CASTニュースBiz編集部は、調査をまとめたMMD研究所の担当者の話を聞いた。

――SoftBankとY!mobileの3Gサービスが2024年4月15日に終わるのが喫緊の重大問題だと思いますが、どのくらいのガラケーユーザーが自分のサービスがもうすぐ終わると知っているのでしょうか。そこが、ものすごく心配です。

担当者 今回の調査では、18歳~69歳の男女7000人のうちガラケーのメイン利用者は111人(1.6%)でした。そこから計算すると、通信会社ごとのガラケー利用者数と、サービス終了を知っている人の割合は次のようになります。

(1)まず、一般的に3Gサービスの終了を知っている人が、docomoが50人中39人(78.0%)、SoftBankが11人中9人(81.8%)、Y!mobileが13人中7人(53.8%)。

(2)さらに、自分が利用している通信会社に限って、その終了年まで正しく知っている人が、docomoが32人中25人(78.1%)、SoftBankが6人中3人(50.0%)、Y!mobileが5人中2人(40.0%)という結果です。

このデータから、3Gサービス終了自体を知っている人の割合は高いですが、実際に自分が利用しているガラケーが終了する時期まで、細かく理解している消費者は少ないように感じます。

――ちょっと待ってください! SoftBankとY!mobileは、あと数日以内の4月15日には終了するのですよ。石川県は例外ですが。それぞれ5割、6割の人がそれを知らないなんて大変じゃないですか!

担当者 こちらの設問は「あなたは携帯電話の3Gサービスが終了することを知っていますか?」と聴取しています。

もしかしたら、ガラケー利用者でも「3Gサービス=3Gのみ対応のガラケーが使えなくなる」という認識がない――つまり、3Gサービス自体が何かわかっていない人も含まれるのではと考えます。

通信会社側もメルマガなどを通したアプローチを行い、ほかの端末への乗り換えをPRしている状況ではあると思いますが、ガラケーを利用するシニア層が「どうせ告知や案内だ」と認識して、ちゃんとメルマガを読まないで、自分ゴト化されていないことも問題かと考えます。

auがガラケーをやめた時も、同じ混乱が

――大変なことになっていますね。ところで、若い層も含めて利用している通信会社の3Gサービスの終了を6割近くが知らない結果が出ました。これは4Gや5Gを利用している若い層には、3Gサービスなんて関係ないよ、ということでしょうか。

担当者 おっしゃるとおり、3G回線を利用したことがない世代が増えているため、若い世代は「ほとんど関係ない」といっても過言ではないかと思います。

しかし、【図表2】のサービス終了の認知率と正答率を見ると、さすがに情報感度の高さから、以下のように若年層のほうがシニア層より認知率・正答率ともに高い結果となりました。

10代 認知率:50.0% 終了年の正答率:75.0%
20代 認知率:52.1% 終了年の正答率:77.0%
30代 認知率:49.6% 終了年の正答率:62.5%
40代 認知率:42.4% 終了年の正答率:67.7%
50代 認知率:40.2% 終了年の正答率:60.5%
60代 認知率:44.4% 終了年の正答率:64.5%

つまり若い層は、ガラケーのことは自分には「ほとんど関係ないよ」といっても、当事者であるシニア層よりはよく知っているということです。

――なるほど。じつは私も70代で、auが3Gサービスをやめる2年前までガラケーを愛用していました。現在、スマホの便利さを堪能していますが、ギリギリまでガラケーが使えなくなるなんて知りませんでしたね。

担当者 auがサービスを終了する直前に調べた調査があります。「2022年シニアの3Gサービス終了に関する実態調査」(2022年3月8日)ですが、その時もガラケー利用者の3割以上がサービス終了を知らず、また、知っていると答えた人も3割以上が終了時期を間違えていました。かなり混乱したと思われます。

今回のSoftBank、Y!mobileで4月に終了する3Gサービスですが、終了を迎えると、ガラケー利用者は自動解約となります。通信会社はいかにガラケー利用者の取りこぼしを最小限に抑えるかカギになってくると考え、今後のスマホ利用率の増加についても注目していきたいと思います。

2022年シニアの3Gサービス終了に関する実態調査」(2022年3月8日)

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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