中国は、なぜ危険レベル1以上でない?ネットで疑問 海外安全情報、設定基準を外務省に聞いた

「状況を鑑みて、総合的に判断」「政治的な背景はない」

   こうした情勢を受け、外務省は25年4月、中国への修学旅行について、「外務省海外安全ホームページ等を十分御参照の上、渡航の是非を御判断いただくようお願いいたします」と公式サイトのお知らせで各学校へ呼びかけた。

   これに対し、中国外務省は、同月22日の会見で、「強烈な不満と断固たる反対」を表明し、「日本側に厳正な申し入れを行った」と強く反発していた。

   日本人が襲われる事件は、6月に入っても発生し、遼寧省大連市内では、日本人男性2人が中国人の男に殺害された。仕事上のトラブルだと報じられており、外国人への危害が後を絶たない状況になっている。

   ウイグルやチベットでは、古い事件が挙げられ、危険レベル1にされた一方、現状では、中国の多くの地域が危険レベルと判断されていない。なぜ全土をレベル1以上にはしなかったのだろうか。

   この点について、外務省の海外邦人安全課は6月19日、J-CASTニュースの取材に対し、次のように説明した。

「事件が起きたのは事実ですが、邦人の方がその国で暮らしている中で、私たちの目から見て、色を変える必要はないと考えました。治安にまつわる全般的な状況を鑑みて、総合的に判断しているということです。個別の事件や政治的な背景があって、決めているわけではありません」

   分かりやすい数値的な基準が必ずしもあるわけではないという。しかし、課内で議論して意思決定しているとして、主観的に決めていることについては否定した。

   韓国が出している海外安全情報では、日本とは違い、ウイグルやチベットを除く中国は、危険レベルにないとは判断されていない。世界地図で青色になっており、日本なら危険レベル1に相当するともみられている。日本では白色になっている米国やイギリス、フランス、イタリア、スペインなども青色だ。

   この点について、外務省では、次のように釈明した。

「それぞれの国がそれぞれの基準で決めており、判断がずれていることもあります。世界的な基準はないので、違いがある場合もあり、同じである必要はありません。他の国の情報も参考にはしますが、相談するわけではありません」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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