参院選(2025年7月3日公示、20日投開票)で国民民主党から公認が見送られた山尾志桜里氏は、無所属で東京選挙区から出馬し、都内で演説を重ねている。選挙戦で最初の日曜日にあたる7月6日は、町田駅前で街頭演説を締めくくった。山尾氏がこの演説で訴えたテーマは(1)女性天皇を認める(2)憲法9条2項の改正(3)社会保障と財源の問題の大きく3点。約23分の演説のうち、最も力を入れたのが(1)で、演説全体の4分の1にあたる5分45秒をかけて必要性を訴えた。現行の「男系男子」では「嫁いだ女性が心身共ともに必ず苦しんでしまう」山尾氏は冒頭、無所属で出馬に踏み切った理由を「この国には左右に偏らない、ちゃんとこの国の土台のことを考える、中道の、真ん中の政治が必要」などと説明。皇室を日本の「土台」と表現し、現行の「男系男子」の皇位継承の原則について「とっても危ういですよね」と指摘し、その理由を「その方(男系男子で皇位を継承した人)がちゃんと、お嫁さんをいただいて、そしてさらにそこにまた男のお子様が生まれなければ、天皇は途絶えてしまう」と説明した。その上で、女性天皇の意義を「嫁いだ女性が心身共ともに必ず苦しんでしまうような、そんな制度が日本の土台でいいんでしょうか?もっと優しい心で、そしてありがたいような気持ちで、もう少し皇室の皆さんに、この国の土台を守ってもらっている感謝と敬意を持っているなら、もうちょっと制度を良くしませんか?」などと訴えた。「女性天皇のお子様がお世継ぎになったっていいじゃないですか」「女性天皇」は、男性天皇や親王のもとに生まれた皇族の女子が即位することを指し、過去に8人・10代(2人は2回即位)いる。いずれも夫の死後に即位するか、未婚のまま即位し、在位中は結婚しなかった。「女系天皇」は、女性天皇と結婚した夫との間に生まれた人が即位することを指し、日本では先例がない。山尾氏は演説で「女性天皇」を強調し、「女系天皇」という言葉は使わなかった。ただ、「女性の天皇だっていいじゃないですか。女性天皇のお子様がお世継ぎになったっていいじゃないですか。男性の血が流れていることよりも、ちゃんと国民の私たちみんなから自然な尊敬の気持ちが継がれることの方が、よっぽど日本にとって安定安心じゃないですか」とも発言。「女系天皇」も念頭に置いていることをうかがわせた。無所属で出馬した経緯をめぐり「普通の一般の国民の皆さんは7割から9割が『女性天皇いいんじゃない』と言っているのに、永田町に行ってみたら、私は女性天皇を議論しようと言っただけで国民民主党から排除された」とも話した。山尾氏は演説後も15分ほど現場に残り、演説を聞いていた人と記念撮影したり、女性天皇について異論を言いに来た人の話を聞いたりしていた。東京選挙区は欠員の補充を含む7議席を32人の候補者が争っている。(J-CASTニュース編集委員兼副編集長工藤博司)
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