「罵詈雑言」は「バズる」と表裏一体
チョコプラが全国区で知られるようになったきっかけは、2018年頃から始めたIKKOと狂言師・和泉元彌のモノマネだった。だが、もう1つハネた転機となったのは、SNSを巧みに活用した独自のムーブメント創出だろう。
同じく2018年、番組企画として「10分で考えた」というTT兄弟は、YouTubeで1000万回再生を超える大ヒット。世の中の「T」を探すというシンプルなコンセプトながら、一般人が真似する動画が続々とアップされ、子どもから大人まで幅広い層に愛された。また分かりやすいコピーとあって、彼らがキャラクターを務めるCMでも多用された。
続く2020年に公開されたのは、シンガーソングライター・瑛太の『香水』パロディ動画。そのMVを完全再現し、3000万回再生を記録。その勢いそのままに、同年には「Mr.パーカーJr.」と、ネットで拡散されることを前提としたキャラクターを次々と生み出した。YouTubeの人気企画「悪い顔選手権」は、特にネコの飼い主が、愛猫の行動にそれぞれ「容疑」をかけて遊ぶケースも多く見られた。
このようにチョコプラは、従来のテレビ発の芸人とは異なり、まずネットで話題を作り、それがテレビに逆輸入される流れを確立した、まさにSNS時代の申し子とも言える。
だからこそ今回の発言は、そんな自分たちの成功の原点を否定する行為として批判を浴びているのかもしれない。SNSは確かに誹謗中傷の温床になる側面もあるが、同時に名もなき人すらも一躍スターダムに押し上げる大いなる可能性も秘めている。
チョコプラが学ぶべきは、そんなSNSの持つ両面性だろう。拡散力は味方にもなれば敵にもなる。彼らにエールを送り、今の地位に押し上げた一般ユーザーたちは、時として彼らに罵声を浴びせ、刃を向ける存在にもなりえるといえるか。
今回の騒動は、SNSで成功を収めた芸人が忘れてはならない謙虚さを、改めて問いかけている。
(川瀬孝雄)