成人向け界隈での「漫画」の存在感
成人向け界隈はビデオ、ドラマや映画、漫画、小説、最近はASMR(ボイスドラマ)など、ありとあらゆるものが展開されており、その中でも読み物の存在は偉大だ。これは私個人が思っているだけではなく、実際に商業として成立させるにも漫画は常に注目を浴びている。
正直なところ、ビデオやピンク映画はここ十数年で苦戦を強いられている状態だ。無料動画や転載が災いして売り上げが伸ばしづらいほか、人間が挑戦できることの幅は限られ、少々ネタの「出尽くした感」が否めない。良くも悪くも、ビデオも映画もマンネリ化により落ち着いてしまった。
それに対して漫画は、可能性が無限大である。実写では難しい内容も二次元ならお手の物で、ビデオよりも安価で手に入る。SNSなどでも気軽に閲覧できる点や、近年のアニメ好き人口の加速も影響して、「成人向けビデオは全くだけど、漫画はスキ」というタイプが熱狂的に支持をする。
非常に人気が高いので、ここ数年は漫画→実写ビデオ化などもよくある流れだ。二次元から三次元は一般の映画やドラマでも主流となり、成人向け界隈でも同じことが起きている。この世界での漫画は大多数から「市民権」を得ている、と断言しても良いだろう。
成人向け界隈での漫画文化は衰退を知らず、商業・同人問わず参入者も多い。ちょっぴりウラの話をすると、前者も後者も収益化がしやすく、おまけにファン獲得も狙えるとなると、飛び込む人々が絶えないのもうなずける。
「人間の三大欲求の一つ『性欲』を刺激するからこそ成人向け漫画の支持率は高い」なんて見方もできるが、きっと理由はそこだけではない。イラスト、作風、内容など作家の強いこだわりが発揮され、人々の心を打つ魅力に溢れることが、文化を盛り上げるエッセンスなのだと、私は考察する。
根本を変えずに継続することがもう、素晴らしい。ビデオ同様、日陰の商売である点は確かだが、長年受け継がれるサブカルチャーの一つとして衰退してほしくはないと、勝手ながら思ってしまうのだ。
【プロフィール】
たかなし亜妖/2016年にセクシー女優デビュー、2018年半ばに引退しゲーム会社に転職。シナリオライターとして文章のイロハを学び、のちにフリーライターとして独立する。現在は業界の裏側や夜職の実態、漫画レビューなど幅広いジャンルのコラムを執筆中。