成人向けコンテンツ、今後どうなる? クリエイター界隈が「表現規制」に震え上がる「深刻な理由」

成人向け作品規制が与える影響は大きい

   成人向けコンテンツに全く触れない人からすれば、規制など何も影響がないものだ。むしろ未成年の将来を考慮して、規制賛成派の声を上げるかもしれない。

   筆者も元セクシー女優という成人向けド真ん中にいたが、オトナ用の作品があちこちの目に触れるのは反対だ。販売規制や年齢確認の強化などは大いに賛成なものの、表現の規制に関しては少しばかり頭を悩ませてしまう。

   アレもこれもダメと締め付ければそちらの道で稼ぐ人々の仕事が減るほか、「余計な抜け道が作られて話が複雑化するのではないか?」と考えてしまうのだ。

   関連する話題として、近頃は風俗店の摘発が多い。職場をなくした女性たちが別の店舗へ移動するかと思いきや、一部はSNSでの個人売春や大久保公園の立ちんぼなどに流れたという。ようするに、厳しくすればするほど曲がった方向に走る人間も出るため、クリエイター間でも同じような事例が発生する可能性がある。大抵何かトラブルが起きるとその裏では「悪いコト」を考える人間が現れるため、表向きだけ綺麗にするようでは意味がないのだ。

   また、成人向けコンテンツといえど、一種の芸術であることに間違いはない。表現=個性なので、NG事項を増やせば全てが似たり寄ったりになるだろう。すると、どうなるか? 他作品と差別化が図れないため売り上げが偏り、職を失う人々が出てくるかもしれない。

   性描写や残酷描写の支持率はなかなかのもので、エロとグロで経済が回っている現実もあるといえるだろう。年に2回開催されるコミックマーケットなどはこの典型例で、1回の開催で100億円以上の売り上げを誇る。成人向けコンテンツが世の中の一部を潤しているため、規制の仕方や範囲も熟考する必要があると私は思う。

   インターネット普及後は「誰でも閲覧可能」になり、成人向けコンテンツが未成年への悪影響を及ぼす事例が本当に増えた。昔のように店頭で雑誌を買わないとお目にかかれない「閉ざされた世界」ではないとなると、規制が入るのもうなずける。

   しかし、何でもかんでもNGを突きつければ解決するわけではない。むしろ事態が別の方向へ走り、悪化しては新たな問題が浮上してしまう。今後、高市氏がどのような決断を下すか気になるところだが、クリエイター達も騒ぐだけではなく、いちオトナとして正しい行動を取るべきなのだ。



【プロフィール】
たかなし亜妖/2016年にセクシー女優デビュー、2018年半ばに引退しゲーム会社に転職。シナリオライターとして文章のイロハを学び、のちにフリーライターとして独立する。現在は業界の裏側や夜職の実態、漫画レビューなど幅広いジャンルのコラムを執筆中。

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