「開催の方法や報道の関係については、あくまでも主催が関西学院大側ですから、ご意向を踏まえて対応をしていったということ」斎藤元彦兵庫県知事は2025年11月28日の定例記者会見で、これと同様の言葉を何度も繰り返した。27日、関西学院大学(兵庫県西宮市)法学部の授業で行われた知事の講演は安全面を考慮し、対面からオンラインに形式を変更した。知事は前回の定例記者会見で「関西学院大の出席依頼があり」と説明していたが、同大学の法学部長の伊勢田道仁教授は「当学部はこの件について機関決定をした事実はありません」「パフォーマンスのために利用されているようで不愉快」などとX(旧ツイッター)に投稿し、大きな議論となっていた。法学部長の投稿について「コメントする立場にない」SNS上では、知事が授業で講演することに賛否が分かれていた。そのことについて問われると、斎藤知事は「そこは詳細を承知していないので、コメントは差し控えます」と述べた。そして、なぜこれまでの事態になったのかという点を問われると、「さまざまな考え、さまざまな視点を持たれる方がおられるという風に思います。今回は、大学の意向に基づいて対応してきたということ」と説明した。Xに投稿された伊勢田法学部長の投稿について問われ、「その内容についてちょっと承知していないので、コメントできません」と述べた。記者が、「承知してないということであれば、こう指摘されていると伝えているが、受け止めは」と重ねて質問したところ、「特にコメントする立場にはありません。大学の意向に沿って、学生とのミーティングをさせていただいた」と述べた。授業は「有意義」、政策以外の話は「なし」J-CASTニュースは11月28日、関西学院大の広報部に授業内容について話を聞いた。担当者によると、授業はオンライン形式だったものの、学生の意見交換は同大の西宮北口キャンパスにて対面形式で行われ、約10人の学生が参加したという。その内容については、「当日、(広報部の)職員が立ち会っておらず、シラバス(授業の内容)以上のことはお伝えできない」と話した。斎藤知事は、定例会見で授業は「有意義だった」と述べ、若者・Z世代応援パッケージや防災減災対策を中心に県政に関する講演を行ったことを説明。学生との意見交換は、観光政策と若者の県内定着を議論したといい、「インバウンドも大事だが、国内の観光客が夫婦二人でゆっくりと温泉地などに旅行するようなターゲティングも大事」「奨学金の支援制度を給付だけではなく、税を活用したやり方にすべき」などの実践的な提案を受けたと語った。「学生さんも県政に対する理解を深めていただいて、かつ、若者の自由な発想にある意見や提案をいただいた、大変気持ちがこもった良い提案だったと思う」とし、「実際の政策編成過程においてぜひ議論していきたい」と前向きに述べた。また、担当教授が学生に対して「関係ない質問はしないように」と指示していたという報道もあったが、斎藤知事は「基本的に政策の話で、それ以外に話がなかった」と説明した。質問中に他の記者から「不規則発言」が飛ぶ会見では、質問への直接的な回答を避ける斎藤知事に対して、「不規則発言」が飛び、知事が苦言を呈する場面も。記者から、斎藤知事が大学を訪れたことに対し、その場に出席した学生がいたのか問われ、「詳細は関西学院大に聞いていただければ」と返答したところ、別の記者が、「あなたの公務なんでしょ」と声を荒げた。斎藤知事は、少しいら立ちを見せた。「まず幹事社さんにお願いしたいんですけれども、質問されている方以外の方が大きな声で声掛けするのは適切なんでしょうか」幹事社からは出席した記者に対し、「ご意見ある方は当たったときでお願いできれば」と呼び掛けられた。また、行政の長としての説明責任について、記者から「真摯に受け止めると言いながら改善されていないという点がさらに批判を大きくしているのでは」と指摘されると、斎藤知事は「さまざま」という言葉を3回使って、「さまざまな課題について、さまざまなご指摘やご批判があった場合には、それについてさまざまな対応をさせていただいて、対応を検討していくということです」と答えた。
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